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02月17日-02号

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  1. 徳島県議会 2021-02-01
    02月17日-02号


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    最終取得日: 2023-06-17
    令和 3年 2月定例会   令和三年二月徳島県議会定例会会議録(第二号) 令和三年二月十七日    午前十時二分開議      出席議員計三十七名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     仁  木  啓  人 君     九  番     東  条  恭  子 君     十  番     浪  越  憲  一 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     古  川  広  志 君     十七 番     高  井  美  穂 君     十八 番     長  池  文  武 君     十九 番     吉  田  益  子 君     二十 番     岡     佑  樹 君     二十一番     元  木  章  生 君     二十二番     岡  田  理  絵 君     二十三番     南     恒  生 君     二十四番     岩  丸  正  史 君     二十五番     寺  井  正  邇 君     二十六番     黒  崎     章 君     二十七番     扶  川     敦 君     二十八番     達  田  良  子 君     二十九番     喜  多  宏  思 君     三十 番     重  清  佳  之 君     三十一番     嘉  見  博  之 君     三十二番     岡  本  富  治 君     三十三番     杉  本  直  樹 君     三十四番     西  沢  貴  朗 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     山  田     豊 君   ────────────────────────  出席職員職氏名     事務局長     秋  川  正  年 君     次長       和  田  茂  久 君     議事課長     大  屋  英  一 君     政策調査課長   佐  金  由  美 君     議事課副課長   高  杉  康  代 君     政策調査課副課長 日  下  栄  二 君     議事課課長補佐  新 居 崎  美  鈴 君     議事課主査兼係長 谷  本  か ほ り 君     議事課主査兼係長 一  宮  ル  ミ 君     議事課係長    幸  田  俊  樹 君     議事課主任    小  泉  尚  美 君     議事課主任    築  山     優 君     議事課主任    尾  崎  亮  平 君   ────────────────────────  列席者職氏名     知事       飯  泉  嘉  門 君     副知事      後 藤 田     博 君     副知事      福  井  廣  祐 君     政策監      瀬  尾     守 君     企業局長     市  原  俊  明 君     病院事業管理者  香  川     征 君     政策監補兼政策創造部長              北  川  政  宏 君     危機管理環境部長 志  田  敏  郎 君     経営戦略部長   板  東  安  彦 君     未来創生文化部長 上  田  輝  明 君     保健福祉部長   仁 井 谷  興  史 君     商工労働観光部長 黒  下  耕  司 君     農林水産部長   松  本     勉 君     県土整備部長   貫  名  功  二 君     会計管理者    近  藤  理  恵 君     病院局長     梅  田  尚  志 君     財政課長     岡     航  平 君     財政課副課長   藤  坂  仁  貴 君   ────────────────────────     教育長      榊     浩  一 君   ────────────────────────     人事委員長    祖  川  康  子 君     人事委員会事務局長桑  原  孝  司 君   ────────────────────────     公安委員長    森     秀  司 君     警察本部長    小  澤  孝  文 君   ────────────────────────     代表監査委員   近  藤  光  男 君     監査事務局長   三  好  誠  治 君   ────────────────────────  議 事 日 程   第二号 令和三年二月十七日(水曜日)午前十時開議 第一 県政に対する一般質問         (四   名)   ──────────────────────── ○議長(寺井正邇君) これより本日の会議を開きます。   ──────────────────────── ○議長(寺井正邇君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。 監査委員から、本年二月に提出がありました住民監査請求一件について、議長宛て通知がありましたので、御報告いたしておきます。 諸般の報告は以上であります。   ──────────────────────── ○議長(寺井正邇君) これより本日の日程に入ります。 日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い発言を許可いたします。 三十三番・杉本直樹君。   (杉本議員登壇) ◆三十三番(杉本直樹君) まず、十三日深夜に発生した福島県沖を震源とする地震により被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。 また、新型コロナに対し全力で当たられている全ての関係者の皆様方に深く感謝を申し上げたいと思いますし、鳥インフルエンザについても、昼夜を問わず対応されている皆様方に対しまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。 それでは、会派を代表させていただいて、張り切ってトップバッターを務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 初めに、県土強靱化の推進についてを四点お伺いいたします。 まずは、県土強靱化のさらなる加速についてをお伺いいたします。 県土強靱化に向けては、徳島県議会として、平成三十年一月から三年連続で、全会派の総意により、公共事業予算の確保を強く要望してまいりました。これに対し、知事は、毎年度、増額予算を確保し、我々の要望を大きく上回る形で応えてくださり、その成果は、地元那賀郡においても、落石危険箇所ののり面対策や道路の冠水防止など、着実に現れており、建設業者からも、事業継続などの面で大いに助かったという声を聞いております。ただ、その一方で、国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策が今年度で終わることに不安の声があったのも事実であります。 コロナ禍で、建設業者の事業継続が危ぶまれ、国の財政状況も厳しい中、半ば諦めに近い心境でいたところ、知事は、希望を我々にもたらしてくれました。全国知事会長として地方の先頭に立ち、三か年緊急対策後のさらなる対策の必要性を国に強く訴え、このたび、五か年、十五兆円という予想を上回る規模で、国の後継対策を勝ち取られたのであります。 三か年の後には当然三か年、規模も同規模ぐらいであろうと誰しも考えるところでありますが、事業者の中長期的な経営にも配慮して、さらに五か年と、いち早く訴えられたと聞いています。規模も、前回の七兆円を大きく上回る十五兆円となり、ここでも知事は、モットーとされている県民目線、現場主義を徹底されたものと、大いに評価させていただきます。 そして、早速このたびの十五か月予算で、十五年ぶりに一千億円の大台を超える公共事業費を計上し、国土強靱化の取組を加速されるものと期待しておりますが、肝腎なのは、この予算が安定的、持続的に確保されるのかということであります。県財政も厳しいのでどうなるか分からないというのでは、建設業者も安心して雇用確保や設備投資に踏み切れません。 そこで、お伺いいたします。 県土強靱化をさらに加速させるため、財政健全化との両立を図りつつ、安定的、持続的な公共事業予算を確保すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、那賀川の治水対策についてをお伺いいたします。 那賀川流域で暮らしている私たちは、季節ごとに様子を変える那賀川と共存しながら生活しております。春になれば、流域に広がる水田での耕作が始まるため、工業はもとより農業のために、長安口ダムへためられている用水が放流され、水量豊かな河川の姿がつくり出されます。夏から秋にかけては、一度大型の台風が来襲すれば一気に増水し、川からあふれ出た濁水によって集落が覆い尽くされ、つらく苦しい思いを何度も経験してまいりました。 新年を迎えたこの冬場は、川の水位を下げ、国土交通省をはじめとする工事関係者の方々は、水位が下がる絶好の時期を逃すまいとの思いで、工事車両がフル稼働しております。新しいゲートの運用を開始した長安口ダムでは、堆積土砂の撤去が進められるとともに、和食・土佐地区では、五キロメートルの真新しい堤防が築かれ、また上流の平谷地区では、背後地のかさ上げ工事が終盤を迎えるなど、住民が待ち望む治水対策が形づくられてまいりました。 改めて、工事のために、お住まいの家屋の移転はもとより、貴重な土地を御提供いただいた方々、また事業の推進に力を注いでいただいている国、県、那賀町の皆さんに、厚く御礼を申し上げる次第であります。 そしてその一方で、流域沿いには、戦後最大流量を観測した平成二十六年台風第十一号をはじめ、これまでの洪水で濁水に襲われた集落が残されております。まだまだ流域の安全を守るための治水対策は、立ち止まることは許されません。 国と県においては、こうした浸水被害への対応策として、令和元年七月、住民の悲願である、那賀町から阿南市に残る全ての無堤地区の解消や、小見野々ダムでの治水容量の確保などを盛り込んだ、新しい那賀川水系河川整備計画を策定し、那賀川の治水安全度を高めるための具体的な対策をお示しいただきました。流域の住民は、この河川整備計画にある堤防整備をはじめとする治水対策の推進を望んでおります。 そこで、お伺いいたします。 水害のない町をつくり上げるため、那賀川上流の無堤対策へどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、小見野々ダムの堆砂対策についてお伺いいたします。 県においては、洪水被害の軽減に向け、堤防整備とダム再生の一体整備を推進するとの方針を打ち出されております。この考えには賛同しております。何度も浸水を経験したダム上流の住民からは、現在、利水者が運用している小見野々ダムの管理に国が参画することによって、これまで以上に堆積土砂の掘削が進むという期待の下、今年度、調査がスタートした小見野々ダム再生事業で予定している堆砂対策を待ち望む声がたくさん寄せられております。 そこで、お伺いいたします。 既存ダムの再生による治水安全度の向上を目指している那賀川において、小見野々ダムの堆砂対策への意気込みをお伺いいたします。 次に、国道百九十五号の整備についてをお伺いいたします。 国道百九十五号は、面積の九割が急峻な地形となっている那賀町のほぼ中央を那賀川沿いに通り、各地区に点在する集落をつなぐ、住民の命と暮らしを守る重要な道路であります。 本道路では、近年、大型化する台風や梅雨前線による豪雨などにより、落石や山腹崩壊、道路の冠水など、道路災害が発生しており、特に木頭地区では、大規模な山腹崩壊により道路が寸断する被害が発生しています。このため、住民は常に危険と隣り合わせであり、孤立の不安を抱えながら日々の生活を営んでいるのが実情であります。このような不安を解消する道路整備は、地域住民の悲願であり、私が議員としてこれまで継続的に取り組み、最も力を注いできた課題の一つであります。 このような中、特に折宇地区から西宇地区の道路整備については、地元の熱い言葉を知事に届けさせていただき、結果、西側と東側の両方から改良工事が進み、平成二十一年度の西宇バイパス完成をはじめ、二十四年度、折宇バイパスに続き、三十年度には石畳から栩谷までの現道拡幅が完成するなど、飛躍的に利便性と安全性が向上し、地域住民共々、私自身、大変感謝いたしております。 そして、いよいよ白瀬トンネルを含む区間を残すのみであります。この白瀬トンネル、仮称ではありますが、既に現地調査や地質調査に取りかかっており、地域住民も大変喜んでいますが、まだまだ現場では具体的な動きが見えてきておりません。 そこで、お伺いいたします。 国道百九十五号白瀬トンネル(仮称)の整備に向けて、今後どのように進めていくのか、御所見をお願いいたします。 次に、川口ダム上流域における那賀川の河川環境改善についてをお伺いいたします。 これまで企業局では、地元那賀町や住民代表の意見も反映しながら、魚道設置の可能性の検討をはじめ、魚道に代わる河川環境改善策について、様々な実験や先進地の事例研究等をされてきました。昨年度は、那賀川水系丈ケ谷川のアユが全国規模の利き鮎会で準グランプリを獲得し、釣り人が増え、地元の振興に寄与するとともに、アユの生態を学ぶ環境学習などにもつながっております。 こうした努力については、私も評価させていただきますが、平成二十七年二月、地元の漁協をはじめ住民三千人もの署名を添付して、川口ダムへの魚道設置の陳情書が県と議会に提出されてから、六年を経ようとしております。川口ダムは、再生可能なエネルギーであることはよく承知していますと同時に、地球温暖化防止にも貢献する重要な役割を果たしていることはもちろん承知しておりますが、一方で、魚類の生育など、河川環境に様々な影響を与えており、地元住民には、ダムの影響で変わってしまった那賀川の清流を少しでも取り戻したい、取り戻してほしいとの切実な思いがあることを、これまで繰り返しお伝えしてまいりました。 昨年九月の県土整備委員会でも、これまでの研究の成果や課題を踏まえ、今後どのように取りまとめていくのかを質問したところ、地域と一緒に、交付金にも新しい方向性がないか等、新たな河川環境改善策を詰めていきたいとの答弁をいただきました。 企業局の事業運営には、水源地域住民の理解と協力が不可欠であります。さらなる地域貢献も必要と思われますため、いつまでも研究ばかりでなく、来年度からは、地域振興につながる実効性のある河川環境改善の方策についてをしっかり進めていく必要があるのでないかと考えております。 そこで、お伺いいたします。 川口ダム上流域河川環境改善について、これまでの研究成果を踏まえ、来年度からどのように取組を行っていくのか、御所見をお伺いします。 それぞれ御答弁をいただき、質問を続けさせていただきます。よろしくお願いします。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 杉本議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 県土強靱化の推進につきまして幾つか御質問をいただいております。 まず、県土強靱化の加速に向け、財政健全化と両立した安定的、持続的な公共事業予算の確保について御質問をいただいております。 本県におきましては、切迫する南海トラフ巨大地震対策をはじめ、県土強靱化に向けた、県議会全会派の皆様からの公共事業予算増額確保に関する御要望を真摯に受け止めさせていただきまして、国に先駆け、平成三十年度当初予算から増額するとともに、あわせて、本県や全国知事会からの提言を通じ、国の総額七兆円、三か年緊急対策の実現につなげ、国直轄事業や補助事業の獲得はもとより、三か年緊急対策に伴い創設された、交付税の措置率の高い新設地方債を優先活用し、実質的な負担を抑制しながら、令和二年度には、平成二十九年度との比較で二百八十四億円増、大幅に強化いたしてまいったところであります。 一方、現行対策が最終年度を迎える中で、台風被害や豪雨災害など、全国で同時多発的に大災害が発生し、流域治水対策をはじめ、より抜本的な対策の重要性が増すとともに、建設産業の皆様方が中長期的な展望を持って事業展開し、若者にとって魅力ある産業となるよう、確かに議員からもお話のありますように、財務省におきましては、コロナ対策以外、増額は認められない、大変厳しい対応がありましたが、全国知事会全国都道府県議会議長会をはじめ地方六団体を挙げ、さらなる五か年対策について、国に対し強く求めてまいりました。 その結果、三か年緊急対策を大きく上回る総額十五兆円規模の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策が実現し、あわせて、有利な地方債制度も拡充、延長されたところであります。 県では、早速これを最大限活用し、開会日にお認めいただいた今年度の二月補正予算と合わせ十五か月予算として、十五年ぶりに一千億円超となる総額一千六億円の公共事業予算を確保し、県土強靱化をさらに加速することといたしました。 公共事業予算の安定的、持続的な確保につきましては、財政健全化との両立がまさに不可欠であり、今回の十五か月予算におきましても、公共事業予算を前年度比七十七億円増とする一方で、全国知事会からの提言によりまして実現した五か年加速化対策に伴う有利な地方債を最大限活用するとともに、臨時財政対策債を除いた県債の新規発行総額は前年度比一億円減に抑制し、令和四年度末までに四千八百億円未満とする財政構造改革基本方針に掲げた県債残高の目標につきましては、令和三年度末見込みで四千八百億円程度とするなど、健全財政の両立を図ったところであります。 今後とも、将来を見据えた持続可能な財政運営に創意工夫を凝らし、県土強靱化の加速をはじめ、徳島の未来に向けた基盤づくり、未来投資に向け、積極的に取り組んでまいります。 次に、那賀川の河川整備について御質問をいただいております。 那賀川におきましては、観測史上最大の流量を記録した平成二十六年台風十一号により、那賀町内では、家屋浸水三百六十棟に及ぶ甚大な被害が発生いたしたところであります。 当時、災害対策本部におきまして、深夜から増え続けるダム放流量や水位上昇の報告をリアルタイムで受け、被害の大きさを確認させていただいたことから、夜が明けるとともに、県庁の災害対策本部から直接、現地に赴き、目の当たりにした洪水被害の惨状や地域の皆様方からの切実な声を踏まえ、間髪入れず、国に対し地域の思いを代弁する再度災害防止を強く提言し、その結果、平成二十七年度、那賀町和食・土佐地区での床上浸水対策特別緊急事業が新規採択されたところであります。 この事業は、二百名を超える用地に関係する皆様方の御理解を賜り、総延長約五キロメートルにも及ぶ堤防、地域の基幹道路である国道百九十五号のかさ上げなどを実施する、これまでにない大規模事業であるものの、地域の皆様方との顔の見える関係を築き、工程調整をはじめ、地元那賀町と緊密に連携いたしました結果、本年三月末、着手から六年という短い期間で築堤が完成する運びとなりました。 議員お話しのとおり、大規模な水害を経験した那賀川では、県が総力を挙げて進めている堤防の整備、国が最先端の技術を駆使し、難工事を進めた長安口ダム改造事業、既存ダムの貯水池機能を維持、拡充する堆砂対策など、那賀川水系河川整備計画に位置づけている、洪水を安全に流すためのあらゆる治水対策を推進しているところであり、こうした取組をより一層加速させることは、まさに私の思いと軌を一にするものであります。 そこで、和食・土佐地区の上流に位置し、多くの家屋浸水が発生した阿井地区の皆様の、洪水被害をなくしてほしいとの熱い思いを込め、昨年十二月に取りまとめました流域水管理行動計画に基づき、平成二十六年の出水時に決断した無堤地区解消への強い思いを実践すべく、那賀町阿井地区におきまして、来年度、ついに堤防整備に着手することとなりました。 今後とも、那賀川における水災害対策を強力に推し進め、災害列島という国難を打破すべく、県土強靱化に全力を傾注してまいる所存であります。 次に、小見野々ダム堆砂対策について御質問をいただいております。 那賀川上流域におきましては、脆弱な地質に加え、年間平均三千ミリを超える降水量を起因とした山崩れ、また斜面崩壊などにより、想定を上回る土砂が既存ダムに堆積しているところであります。 その打開策として、私自ら先頭に立ち、県を挙げた政策提言活動に取り組み、平成十九年度には、当初計画の約三倍の土砂が堆積していた長安口ダムの国直轄化を実現し、直ちにダム改造と併せた大規模な除去工事が開始され、本年度で十四年目を迎えることとなりました。 現地では、これまで約百八十万立米が取り除かれ、引き続き対策が進められるとともに、現在、貯水池機能を将来にわたって保全する長期的堆砂対策の調査検討が行われているところであります。こうした堆砂対策をさらに強化する処方箋が、議員お話しの、四国電力が管理する小見野々ダムを有効活用する貯水容量の増強であります。 小見野々ダム上流では、出原地区をはじめ貯水池付近での堆積が大変著しいことから、家屋浸水が発生した平成二十六年台風十一号以降、本格的な河道掘削により、本年度までに約十四万立米を除去したところであります。また、令和元年七月、国と共に取りまとめました那賀川の治水目標をもう一段高める新しい河川整備計画の中に、堆砂対策を盛り込んだ小見野々ダム再生事業を位置づけ、このダムの再生を具現化すべく、国に対し、早期事業化を提言し、今年度、建設に向けました最初の段階となります実施計画調査の新規箇所に採択され、地形・地質データの収集が始まったところであります。 さらに、今定例会の開会日に御先議いただきました補正予算により、いよいよこれから、小見野々ダム貯水池に流れ込む堆砂の基礎調査が開始され、ダム再生の全体計画策定に向けた検討が本格化してまいります。私自身、さきの整備計画策定を通じまして関係者の皆様方から頂戴いたしました治水に対する熱き思いを心に刻み、一歩先の未来を見据えた那賀川の川づくりに臨んでおり、国に対し、粘り強く、小見野々ダム再生の重要性と有用性をしっかりと提言し、現在の調査段階から建設段階への移行、ひいては貯水池における堆砂対策の早期着手にしっかりと取り組んでまいります。 今後とも、真正面から洪水対策に立ち向かい、とわに続く安全・安心な那賀川をしっかりとつくり上げてまいります。 次に、国道百九十五号の整備について御質問をいただいております。 国道百九十五号は、高知市から那賀町、阿南市を経由し徳島市へ至る広域的な道路ネットワークを形成する基幹道路であるとともに、地域の皆様方の暮らしを支える生活道路であり、発災時には緊急輸送道路として、復旧活動や緊急物資の輸送を担う命の道ともなる重要な道路であります。 また、沿線では、国内外で評価が高く、鮮やかな色合いや高い香りが魅力の木頭ゆず、建築材として耐久性に優れ、香りや手触りが心地よい徳島すぎが生産されており、これら本県の特産品を出荷するルートとして、まさに地域経済を下支えする大切な道路でもあります。 一方、気候変動の影響により激甚化する自然災害の脅威が高まる中、議員お話しの栩谷口地区から平野地区の未改良区間であります約千八百メートルの現道におきましては、大規模な山腹崩壊や急斜面からの巨大な落石による通行止めなど、道路災害が幾度となく発生しており、その対策がまさに長年の緊急課題となってきたところであります。 そこで、長大斜面対策が必要な現道拡幅と比較し、最適なライフサイクルコストを見据え、トンネルと橋梁により現道を大きくショートカットする約九百メートルのバイパスを計画し、防災機能の向上を図ってまいります。 これまでも、トンネル坑口付近におきまして、土砂災害警戒区域や地滑り危険箇所であることから、設計の基礎となる現地調査や地質調査を行っており、現在、この調査結果を基に、最適なバイパスルートの検討を進めているところであります。引き続き、本年六月からの詳細設計に着手し、地元の皆様の御理解、御協力のもと、バイパスの東側、平野地区のトンネル坑口での立体交差をする町道の工事、西側、栩谷口地区の急峻な地形における橋梁の工事を、最新の土木技術を駆使し、順次進めるとともに、国の五か年加速化対策とも呼応し、一層の整備のスピードアップを図ることによりまして、地域住民の皆様方の悲願である延長約八百メートルの白瀬トンネルの令和六年度着工を目指してまいります。 今後とも、県民の皆様方の命と暮らしを守り抜くとの気概を持ち、地域間交流や経済、産業の発展に寄与する国道百九十五号の強靱化をさらに加速させ、地方創生の礎となる道路整備に全力を傾注してまいる所存であります。   (市原企業局長登壇) ◎企業局長(市原俊明君) 川口ダム上流域河川環境改善についての御質問でございますが、川口ダム上流域は、全国屈指の豊かな自然に恵まれ、企業局が運営しております水力発電や工業用水の供給にとっても大変重要な地域でありますことから、河川環境をしっかりと保全しながら、地域の価値と魅力を次の世代に継承していくことが肝要であると認識しております。 このため、企業局では、地元那賀町住民代表の方々で構成する検討委員会での御意見を伺いながら、河川環境の改善に向けた魚道設置に関する調査検討を行いますとともに、徳島大学とも連携し、陸封アユやアユのくみ上げ放流などの調査研究に取り組んでまいりました。 このうち、川口ダム直下におけますくみ上げ放流に関しましては、平成二十九年度と今年度の二回実施いたしましたところ、限られた時間で大がかりな準備が必要となりますことから、作業効率を改善するには限界がありますとともに、天候や渇水の影響など、継続的に取り組む上では多くの課題があることが確認されました。 一方、昨年度、高知県で開催されました第二十二回清流めぐり利き鮎会におきまして、那賀川水系丈ケ谷川のアユが準グランプリを獲得し、優れた河川環境と清流が保たれていることのあかしとなる高い評価をいただいており、河川環境の保全とにぎわいの創出に向け、継続した取組が重要であると認識しております。 そこで、企業局では、引き続き、魚道設置に関する先進地事例調査や国への要望を進めながら、これまで以上に地域と密着した事業運営を図るべく、検討委員会の御意見を反映した河川環境改善策を再構築いたしたいと考えております。 具体的には、来年度から、川口ダム上流域河川環境改善と地域振興を一体的に支援する新たな交付金事業を創設いたしまして、アユの放流体験や環境学習などのイベントと組み合わせた稚魚放流の拡充、利き鮎会での準グランプリ獲得を契機とし、PRの強化や那賀川アユの継続入賞を目指したブランド化の加速などによりまして、河川環境改善を図りながら地域資源の付加価値を高め、にぎわいの創出を促進する、一歩踏み込んだ支援を行ってまいります。 今後とも、地域住民の御理解と御協力をいただきながら、地域の価値と魅力を育む、次世代へとつながる川口ダム上流域河川環境改善に積極的に取り組んでまいります。   (杉本議員登壇) ◆三十三番(杉本直樹君) それぞれ御答弁をいただきました。 県土強靱化については、全国知事会長である飯泉知事のリーダーシップにより、新たに五か年加速化対策等が認められたと、高く評価させていただきます。どうかこれからの五年間で、決して後れを取らない社会資本の更新と、将来を見据えた維持管理の推進をお願いいたしたいと思います。 また、この予算の背景とも言える、河川整備と道路改築についての御答弁をいただきました。 那賀川上流での無堤対策については、来年度から阿井地区で着手するとの御答弁ありがとうございます。水害の記憶が冷めやらぬうちに、切れ目のない堤防整備を進めることにより、地元の御理解と御協力は一層進むものと考えております。 また、小見野々ダムについては、四国電力だけでなかなか進まなかった堆砂対策が、新しい発想での国直轄事業になり、大きく前進するものと期待しておりますので、無堤対策と併せて早期の工事着手を要望させていただきます。 国道百九十五号の改築については、地元に寄り添うありがたい御答弁をいただきました。 地元として、熱意から、時には厳しい質問となったことがございますが、どうぞお許しいただきたいと思います。飯泉知事さんには、那賀町の道路整備に御尽力をいただいており、大変感謝いたしております。引き続き、住民生活に欠かせない道路整備をどうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、川口ダム上流域河川環境改善についてですが、事業を運営していく上で、河川環境の改善は最優先するべき重要な事項であることを、企業局は改めて強く認識していただくとともに、地元住民の思いに十分に応えるべく、研究から実践へ向けた取組に努力していただくことをお願い申しておきます。 それでは、質問を続けてまいります。 新ホールの整備についてお伺いいたします。 私には、都会で音楽をしている親類のお嬢さんがおりますが、コロナ禍により、十分な活動ができないと悔やんでおることを聞いております。県内の状況を見ても、文化活動の多くが中止を余儀なくされており、文化芸術への影響を実感しているところであります。 そのような中、進められている新ホールの整備については、明るい話題であり、マスコミ報道などでも耳にしない日はなく、現在、県政の最重要施策の一つと言えるのでないかというような感じを持っております。 新ホール整備は、知事のリーダーシップの下、検討されており、昨年末には基本方針が策定され、さらに基本計画の素案が取りまとめられ、今議会に提出されました。これまでは、県議会としては、新ホールの議論をしっかりと行いつつ、一日も早い開館に向け、審議日程等、対応を行ってきたところであり、今議会においても、スピード感を持ちつつ、しっかりとした議論ができればと考えております。 また、基本計画において、県立ホールとして整備することを明記されましたが、県全体への効果を考えれば、県が主体的に取り組むことは非常に重要なことだと思います。スピード感を持って進めている新ホール整備ですが、一方で、過去には長い間、紆余曲折があったことも確かであり、迅速にということと相反しますが、慎重さも必要かと考えます。 特に、徳島市との協調は、スムーズな整備に不可欠なことだと思いますので、現在の良好な協調体制を継続いただき、県と市の役割分担や費用分担などを現時点で明らかにした上で整理すべきと考えます。 さらに、基本計画では、施設整備の基本事項として、徳島ならではの特徴を持った拠点として整備を進めるとしています。徳島ならではの素材といえば、県産材とLEDが挙げられるのではないでしょうか。例えば、内装にぬくもりのある県産材をふんだんに使ったり、ロビーに温かみのあるLED照明を使うなど、思わず立ち寄りたくなる施設となるため、そして県内産業への経済的効果のためにも、ぜひ積極的な活用をお願いいたします。 そこで、お伺いいたします。 新ホール整備について、今後、県市協調を図りつつ、役割分担等を明らかにして取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 また、徳島ならではのホールにするため、どのような施設を整備していくかについても、御所見をお願いいたします。 次に、県産材の活用についてをお伺いいたします。 平成十七年度に林業プロジェクトを開始された当時は、県下の木材生産量は約十七万立方メートルと、底を打っておりました。これまで十五年間の林業プロジェクトにより、川上では、森林内の路網がきめ細かく整備され、伐採から搬出まで、作業の大部分において機械化が進んでまいりました。また、とくしま林業アカデミーや那賀高校森林クリエイト科などの担い手育成が順調に進んでおり、若い人が山で働く姿を見かけるようになり、非常に頼もしく思っております。 さらに、川中では、A材は製材に、B材は合板に、C材は木質ボードに、D材はバイオマス燃料に利用できる、他県にはない体制をつくってきたことで、木材生産量は昨年度で四十万立方メートルを超えることができたところであります。 一方で、もう一押し、進めなければならないのが、課題として、木材価格をどうにか上げられないかという点でございます。 私が若い頃は、地域ごとに製材所があり、木材は住宅や建具などにたくさん利用されており、山から木を二、三本切って出せば一日の日当になっておりました。現在は、人口減少に加え、新型コロナの影響で住宅需要が落ち込み、価格の高いA材やB材向けの丸太であっても、半値ほどのボード用のC材や燃料用のD材として出荷せざるを得ない状況も出始めております。 今まさに、木材の需要先がC材、D材へと向かう峠に差しかかっているような感じがしてなりません。危惧いたしております。先人が大切に植え育ててきた思いをつなぐためにも、住宅など付加価値の高い分野でしっかりと利用するとともに、需要先と十分に渡り合えるような供給力を育て、売り先を拡大することによりまして、さらに夢のある林業が実現することを切に願うものであります。 そこで、お伺いいたします。 県産材の価格向上に向け、流通の強化や需要の拡大にどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県の総合計画「未知への挑戦」とくしま行動計画の重点化についてお伺いいたします。 知事は、所信表明において、この計画を、アフターコロナを見据え、未来志向の新たな羅針盤へと抜本的に再構築すると表明されました。私は、総合計画は選挙の際のマニフェストを具現化する道筋を示すものと認識しております。知事にとっても非常に重いものであると考えております。 この計画の中には、コロナ禍により政策的に目標を達成できない事業等が出てくるはずであります。普通であれば、それで計画は計画としてそのまま置いておくと思いますが、しかし知事は、できないものはできないと、県民に示した上で、計画に挙げられた施策のうち今後取り組む必要性の高いものを絞り込み、思い切った重点化を図るとのことです。 知事は、コロナ禍に際して、全国知事会会長として地方の声をタイムリーに国に届け、また、数次にわたる補正予算を機動的に編成されています。そんな知事だからこそ、県民にコロナ禍を踏まえた今後の県政の方向性をしっかりと示したいと考え、今回の決断をされたものと思いますが、アフターコロナを見据えて、コロナ禍というピンチをチャンスに変えていくためには、計画を重点化することにより、県の持てる力をいかに集中し、強力な取組を推し進められるかが非常に重要であると思います。 そこで、お伺いいたします。 「未知への挑戦」とくしま行動計画を県政の新たな羅針盤として、新型コロナという荒波をどう乗り越えるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、過疎対策についてお伺いいたします。 過疎地域は、豊かな森林をはじめとする自然や農村舞台などの伝統文化といった魅力にあふれる地域ですが、長年の人口減少により、厳しい状況に置かれております。例えば那賀町では、一九九〇年頃からの二十五年間で人口は三分の二になってしまいました。このままでは、地域活力の低下のみならず、いずれ集落が消滅してしまうのでないかという危機感を多くの方が持っております。 現在、こうした過疎地域の暮らしを支えるために制定されたいわゆる過疎法の下で、国から手厚い財政措置が講じられ、県や市町村において積極的な施策が行われております。しかしながら、現行の過疎法は今年度末が期限とされており、我々県議会は、令和元年九月定例会において、新たな過疎対策法の制定に関する意見書を取りまとめ、全会一致で可決いたしました。この意見書は、県議会過疎対策推進議員連盟として、岡本先生と私が総務省と自由民主党過疎対策特別委員会に対する提言活動を行うとともに、過疎地域の実情をお伝えしてまいりました。 また、昨年度の代表質問で、過疎対策について、何としても新法制定が実現するように取り組むとの力強い答弁を知事さんからいただいております。この言葉どおり、県が市町村と共に立ち上げた過疎対策研究会では、新たな過疎法に関する議論をリードして提言を取りまとめ、さらに、知事会に過疎対策特別委員会を設置され、全国の意見をまとめて、国や各政党に届けていただいたところであります。 このように、県議会と理事者が車の両輪となって取り組んできた結果、昨年十二月には、自民党から今後の過疎対策の施策大綱案が示され、今月十五日には、党としての法案が過疎対策特別委員会で了承されました。新法の案は過疎地域の持続的発展という理念を掲げており、引き続き政党間で協議した上で通常国会に提案されるということで、私も注視しているところであります。 新たな過疎法が制定されれば、次は県や市町村の出番であります。過疎地域では、人口減少に伴って多くの課題が生じています。過疎地域の持続的発展という新しい理念にのっとり、実効性のある事業を積極的に進めることが急務であると考えます。 そこで、お伺いいたします。 新たな過疎法の制定が見えてきた今、その理念をどのように具現化していくのか、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただいて、まとめに入らせていただきます。よろしくお願いします。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 新ホール整備につきまして幾つか御質問をいただいております。 まず、役割分担についての御質問であります。 本県における文化ホールの現状を見ますと、来年度からの鳴門市文化会館の一時休館により、アスティとくしまを除けば、県内に千席以上の公立ホールがなくなることから、一日も早くこの危機的な状況を解消するため、今定例会に新ホールの整備に係る基本計画素案をお示しし、御論議いただくとともに、現在、パブリックコメントにより県民の皆様方からの御意見を伺っているところであり、速やかに基本計画に反映させ、年度内に成案化できるよう、その取組をさらに加速化いたしてまいります。 ところで、平成五年から検討され続けてきた徳島市文化センターの整備計画が約三十年間の長きにわたり滞ってきたものを、ここまで順調に進めてくることができましたのは、ひとえに県市協調の名の下、これまでの数次にわたる検討結果をも踏まえるとともに、集中的に御検討いただいた県市協調未来創造検討会議や県議会の皆様方、そして市民、県民の皆様方の強力な後押しのたまものであります。 こうした徳島市における長年の課題を県市協調により解決し、さらに、その成果を文化芸術振興や担い手育成、観光振興、にぎわい創出など徳島県全体の課題解決へとつなげ、その象徴として、新ホールを県が主管する県立施設として基本計画に明記いたしたところであります。その上で、今後さらに効率的、効果的に事業を進展させていくためには、県都である徳島市と県が担うべき役割を明確にし、その役割に応じて各施策やプロジェクトを推進していくことが肝要となるところであります。 そこで、具体的な役割分担といたしましては、まず県では、外構、駐車場を含むホール本体の設計、整備を県立施設として一括して担うとともに、徳島市におかれましては、市有地の提供及び市道や下水道等、周辺のインフラ整備を担っていただき、既存建築物の撤去につきましては、県有か市有か、その所有者が実施する方向で調整を図ってまいります。 また、費用につきましては、県と市おのおのの役割に応じて必要となる経費を負担することとし、このうち、県といたしましては、本体工事費の約百八十億円と、設計や工事監理、調査費として約十四億円、外構や駐車場整備、備品費として約十二億円、敷地内における埋蔵文化財の適切な保護措置や土地整備などの予備的費用として約十億円、さらには、当初予算に計上させていただいております青少年センター解体費を見込んでいるところであります。 次に、徳島ならではのホールについて御質問をいただいております。 先日、徳島ならではのホールデザインをテーマに、四国大学の学生の皆様方が授業の一環として作成されました外観デザインの提案書を、内藤徳島市長さんと共に直接受け取らさせていただいたところであります。 提案書のデザインでは、阿波おどりや阿波藍、渦潮などの徳島ならではの素材を巧みにアレンジするとともに、LEDビジョンを外壁に設置し、にぎわいの拠点として常時人々を引きつけることを目的とし、県出身のアーティストのミュージックビデオを流すといった斬新なアイデアが数多く盛り込まれているところであり、新ホールの基本目標であります徳島ならではの文化芸術の力を結集し、夢と希望あふれる未来を創生する、このことに合致するもので、学生の皆様方の若くてそして豊かな感性に大いに感心させられたところであります。 また、議員からも御提案いただいているように、徳島が誇る県産材やLEDなどの新ホールへの積極的な活用につきましては、県内産業への経済効果をはじめ、温かみや親しみのある落ち着いた内装、様々な舞台演出が可能となる照明設備、館内外の魅力を高めるデジタルアートなど、徳島ならではの特徴を持った施設とするためにはまさに必要不可欠なもの、設計の段階から十分に配慮いたしてまいります。 今後、県民の皆様方の熱い思いと新ホールへの期待を丁寧に積み重ね、新ホールが徳島の魅力を象徴した県都のランドマークとなるよう、あらん限りの英知を結集いたしてまいります。 次に、「未知への挑戦」とくしま行動計画を羅針盤として、コロナ禍の荒波をどのように乗り越えていくのか、御質問をいただいております。 本県が、行動計画に基づき、人口減少と災害列島、二つの国難への対策を着実に進めてきたさなか、新型コロナという第三の国難が来襲し、多くの施策がその影響を受ける一方で、世界規模で社会通念や価値観が大きく変容し、新たな日常、ニューノーマルへの適応が求められているところであります。 また、国、地方の税財政悪化の懸念など、課題が山積する中で、この大きな社会変容を踏まえつつ、未知の厄災であるコロナ禍を克服し、ピンチをチャンスに変えるアプローチによりまして、ウイズコロナからアフターコロナを俯瞰した新たな県政運営の指針を県民の皆様方に速やかにお示しすべきと考え、今回、行動計画の重点化を決断させていただいたところであります。 議員お話しのとおり、重点化を行うことによりまして、本県の限られた政策資源を凝縮し、ターゲットを絞った強靱でしなやかな取組を推し進めることが重要と考えており、まず、現計画で掲げる約九百項目の施策を、ニューノーマル仕様をはじめ新たな手法により、国難打破に向けた効果的な対策に取り組む約三百項目に絞り込んだ上で、これらを新たに重点項目として設定し、集中的に推進いたしてまいります。 また、新たな時代の国難を突破する原動力として、5Gはじめ未来技術でニューノーマル対応の可能性を広げる、県民の皆様方の安全・安心の確保、利便性の向上、社会経済活動の活性化に威力を発揮するデジタル社会の実現、カーボンニュートラルや自然エネルギーの最大限導入などによりまして経済の持続可能性と環境の両立を図りますグリーン社会の実現を明確に位置づけ、両分野における本県が全国をリードしてきた成果にさらに磨きをかけることにより、強力な二つのエンジンを実装いたしてまいります。 さらに、今後のコロナワクチン接種の動向などをしっかりと注視しつつ、ウイズコロナからアフターコロナへと移り変わる情勢を的確に把握し、必要に応じ、重点項目の即時追加や入替えを行うなど柔軟に対応することで、行動計画を絶え間なく進化させるよう意を用いてまいる所存であります。 これから本県がコロナ禍の荒波を乗り越え、アフターコロナの新天地を目指す新たな航海へと乗り出すに当たり、行動計画という船の形状を徹底的にそぎ落とし、スリム化し、機関部にはデジタルとグリーンの強力なエンジンを積むことによりまして、県民の皆様が夢と希望を持ち、安心して幸せを実感できる社会の実現に向け、進むべき航路を一点突破で切り開いてまいりますので、議員各位におかれましても御理解、御協力賜りますよう、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。 次に、新たな過疎法の理念をどのように具現化していくのか、御質問をいただいております。 過疎地域は、豊かな自然や伝統文化を受け継ぎ、国土の保全など多面的機能を担うのみならず、コロナ禍において密集のリスクを避けながらスマートライフを実践することのできる場として、魅力や価値が再認識されており、著しい人口減少が続く過疎地域を支えることは極めて重要である、このように認識するところであります。 本県では、今年三月末に失効いたします現行過疎法に代わる新法の制定を求め、市町村も交えました過疎対策研究会を平成三十一年一月に立ち上げ、県議会過疎対策推進議員連盟杉本会長さんをはじめ議員各位に御参加いただき、国への政策提言を繰り返し実施するとともに、全国知事会としても提言を行うなど、幾重にも重ね、地方の声を国、与党の皆様方に届けさせていただいたところであります。 去る二月十五日には、自由民主党の総務部会過疎対策特別委員会の合同会議の場で、議員立法に向けた新たな過疎法の案が了承され、現在、過疎地域の持続的発展を理念とする法案を今国会に提出すべく、政党間の協議がなされているところであり、県議会の皆様方には、全会一致で可決いただきました新たな過疎対策法の制定に関する意見書をはじめ、力強い後押しをいただいたことに、深く感謝を申し上げる次第であります。 一方、議員お話しのとおり、地方におきましては、これから新法の理念を具現化し、実効性の高い過疎対策に取り組んでいくことが求められるところであります。 こうした中、国におきましては、新法制定を視野に入れ、来年度予算案を編成し、過疎対策事業債の前年度比三百億円の増額、過疎地域でのICT活用や人材育成を支援する交付金の拡充など、財政措置の充実が盛り込まれたところであります。 そこで、県といたしましては、新法制定後速やかに、市町村が円滑に過疎対策を進めるため、全庁的な推進体制を構築し、法の理念を具現化する、施策の基本的な方針や関連事業をまとめた計画の策定にスピード感を持って取り組んでまいります。 また、次期計画におきましては、コロナ禍を契機とした地方回帰の潮流を捉え、生活基盤の整備はもとよりのこと、雇用の創出やデジタル社会の実装、さらには地域文化の継承など、ハード、ソフト両面にわたる取組を位置づけ、地域の未来を築く新たな過疎対策を積極的に展開いたしてまいります。 今後とも、過疎地域の暮らしをしっかりと守るとともに、住民の皆様方の活気があふれ、地域のために多様な人材が活躍される持続可能な地域づくりを推進し、徳島から新次元の分散型国土の形成を具現化できるよう、全力を傾注してまいる所存であります。   (福井副知事登壇) ◎副知事(福井廣祐君) 県産材の流通強化や需要拡大についての御質問でございますが、県産材を伐採し、植林、保育といった健全な森林サイクルを確立することは、木材生産はもとより、地球温暖化防止や国土保全、水源涵養などの機能を維持するためにも極めて重要であります。 このため、本県では平成十七年度に、全国に先駆け林業プロジェクトを展開いたしておりまして、これまで、高性能林業機械の導入や林業アカデミーにおける担い手の育成などに取り組み、昨年度の県産材の生産量は、プロジェクト開始前の約二・四倍へと順調に拡大してきたところであります。 一方、議員お話しのとおり、価格の安いバイオマス燃料への需要は堅調なものの、人口減少やコロナ禍における住宅需要の減少により木材価格は低迷しており、流通や需要面での取組の強化が必要である、このように認識いたしております。 このため、流通面では、さきの六月補正予算を活用し、県下一円で滞留していた丸太を集積する新たな大型ストックヤードを小松島港の隣接地に設置した結果、昨年九月から計三回、需要がいち早く回復した中国へ向け、約九千立方メートルの輸出が実現いたしました。 林業事業者が一体となり実現した今回の成果を一過性のものとせず、需要の拡大を図るため、今後、生産情報の一元化と共同出荷に向けた体制を新たに構築し、取扱規模を拡大することで、海外をはじめ大口需要先の新規開拓や有利な価格での販売につなげてまいります。 次に、需要面では、徳島すぎの家リモート完成見学会への支援、東日本大震災の被災地で好評を得た木造仮設住宅板倉構法の部材の備蓄などに新たに取り組みますとともに、全国初のあらわし木造四階建て県営住宅に挑むawaもくよんプロジェクトや、基本計画を策定中の新ホールなど公共施設における利用を推進し、建築分野での需要を拡大してまいります。 さらに、この秋オープン予定の徳島木のおもちゃ美術館におきましては、幼少期から木に触れ、県産材のよさを体感していただくことで、将来にわたる木材需要の創出につなげてまいります。 今後とも、林業の成長産業化の実現に向け、本県の豊かな木材資源が有効に利用される取組を積極的に展開してまいります。   (杉本議員登壇) ◆三十三番(杉本直樹君) それぞれ御答弁を頂戴いたしました。まとめさせていただきます。 まずは、新ホール整備は県全体に様々な効果があり、夢や希望を与えられる事業だと思います。新型コロナの影響や県内の大ホールの減少など、文化芸術に厳しい時代だと思っていますので、少しでも早くこの状況が解消できるよう、県の積極的かつ主体的な取組をお願いいたしたいと思います。 また、徳島市との協調体制について、知事の御答弁にありましたが、適切な役割を分担し、県と市それぞれが責任を持って進めていくことが、新ホールの開館への近道だと考えますので、円滑に進めていただければと思います。 県産材につきましては、県の様々な施策効果もあって、生産量は順調に伸びてきており、新ホールに使われれば、多くの来館者の目に留まることとなり、宣伝効果が期待できますので、積極的な活用をお願いいたしたいと思います。 次に、県産材の活用については、今後、委員会などの場でお聞きしていきたいと思いますが、県産材の価値向上に向け、しっかりと取り組んでいただけるようお願いいたしたいと思います。 次に、とくしま行動計画についてでありますが、重点化されたとくしま行動計画の下で強力に取組を推し進め、コロナ禍というピンチをチャンスに変え、アフターコロナ時代に輝く徳島を目指していただきたいと考えております。 最後に、過疎対策についてでありますが、新たな過疎法の新しい理念、過疎地域の持続的発展の実現には、法の制定後、県や市町村が実効性のある施策を積極的に実施し、いかに課題を解決していくかにかかっていますので、最後のチャンスとの思いでしっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。 以上で質問は終わりましたが、先般、寺井議長さんから、私と岡本先生に、二十五周年、名誉ある表彰をいただきまして、このバッジがそうでございます。ありがたいと思っておりますが、今振り返りますと、過疎につける薬とはげに効く薬はない、当時、日下先生にお叱りを受けたことを今のように思い出しますが、今でもやはり過疎は私どもにとりまして大きな課題でございます。 もっと頑張っていきたいと、かように思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げて、全てを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(寺井正邇君) 議事の都合により、休憩いたします。      午前十一時八分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午前十一時三十二分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     仁  木  啓  人 君     九  番     東  条  恭  子 君     十  番     浪  越  憲  一 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     古  川  広  志 君     十七 番     高  井  美  穂 君     十八 番     長  池  文  武 君     十九 番     吉  田  益  子 君     二十 番     岡     佑  樹 君     二十一番     元  木  章  生 君     二十二番     岡  田  理  絵 君     二十三番     南     恒  生 君     二十四番     岩  丸  正  史 君     二十六番     黒  崎     章 君     二十七番     扶  川     敦 君     二十八番     達  田  良  子 君     二十九番     喜  多  宏  思 君     三十 番     重  清  佳  之 君     三十一番     嘉  見  博  之 君     三十二番     岡  本  富  治 君     三十三番     杉  本  直  樹 君     三十四番     西  沢  貴  朗 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○副議長(岡田理絵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 三十四番・西沢貴朗君。   (西沢議員登壇) ◆三十四番(西沢貴朗君) おはようございます。徳島県議会自由民主党の西沢貴朗でございます。 今回の私の質問は、そのほとんどが、多くの方々にぜひともよく聞いていただきたいものばかりでありますので、よろしくお願いいたします。 新型コロナウイルスにより亡くなったり健康を害された方々、また、四日前にも福島県沖で大きな地震が発生しましたが、近年続く災害により亡くなったり被災された方々に、心からお悔やみを申し上げます。 さて、昨年の私の代表質問二日前、二月十六日に、私の母は亡くなりました。あと十八日で百二歳でしたが、眠るように亡くなり、まさに大往生でした。 その母は、亡くなる前、自身の人生録を書き上げており、その中に、当時二歳五か月の兄が昭和の南海地震による津波で亡くなったときのことも書き留めてありました。 その当時、母は長女の産み月を迎えていましたが、その人生録によりますと、「大きな地震の直後、主人はすぐに、浜へ波を見てくると言い出しました。私は、見に行かんと早よ逃げようと言いましたが、主人は、そんなに早く津波は来んと言って、私を振り切って出ていきました。でも、誰かの、津波が来るぞとの声で、主人はすぐに引き返してきました。 私は、それまでに、息子を主人の着物の帯で背負っており、すぐに逃げ出しました。逃げる途中で、怖かったのか、息子は背中で小さな声で、母さんと言いましたが、それが息子の最後の言葉でした。既に足元まで津波が来ており、五十メートルぐらいこんずころんずして流され、やっとの思いで立ち上がると、既に背中には子供の姿はありませんでした。何度も何度も子供の名を叫びましたが、返事はありませんでした。どうすることもできず、ごめんね、ごめんねと言って、私たちだけで逃げました。 明くる日、私たちが立ち上がったところに、まるで親が迎えに来てくれるのを待っているかのように、その場に眠っていました。あのとき津波を見に行かずにすぐに逃げていたらと思い続けていましたが、お父さんもつらいだろうと思って、一生涯、このことは口に出しませんでした。」父も母も、大きな重荷を背負った人生でありました。 さて、まずは、新型コロナウイルスが猛威を振るっている今、南海トラフ地震などの巨大災害が日本を襲ったらということからです。 ちょうど一年前、私の代表質問の頃からでしたが、日本でも新型コロナウイルスが猛威を振るい始めましたが、その上、日本では、南海トラフ地震などの巨大災害が待ったなしの状況下にあります。私は、このウイルスが日本でも猛威を振るい始めた二月頃、コロナ危機の上に南海トラフ地震などの巨大災害が今発生すればどうなるのかということを誰も言い出していないことから、国や県の関係者に、このことを想定した対策を早期に立てるようお願いしてまいりました。 昨年七月の九州豪雨のときには、DMAT関係者など派遣要員の方々は、今、派遣要請がなされたらとの思いがしたようですが、その後、計画された対策は、避難場所での三密対策だけのようであります。 私は今までに、巨大災害が発生すると、銀行を含む多くの企業や人が被災し、株や円、国債は暴落し、経済は大混乱に陥り、行政もどの機関も人も動けなくなり、その後の国民生活は第二次世界大戦直後のような状態になるのではと言ってまいりました。そしてその上、コロナの発生であります。 今、巨大災害が日本を襲えば、国や県などの財政も経済もより厳しく、また、国内からはもとより、アメリカのトモダチ作戦など外国からの応援、支援も期待はできないように思います。私が今までに言ってまいりました巨大災害時の予想をはるかに上回る事態となりそうであります。 そこで、質問です。 新型コロナウイルスが発生した今、南海トラフ地震など巨大災害が発生したときの対処方法として、今考えられている避難場所での三密対策だけではなく、もっと巨大災害全般を捉えたしっかりとした対策を取るべきと思いますが、いかがでしょうか。県や県民だけではなく、国へ要請したり、全国知事会や関西広域連合でも話し合っていただいたりするなど、国を含む全行政、全国民が早急に取り組むべきだと思います。 続きまして、隣接する高知県東洋町と海部郡、両地区での防災協力について考えてみました。 この両地区は、買物や通学、医療などで生活圏を同じくする地域でありますが、防災面に関しましては、消防などの協力体制に限られているようであります。この地区は、国道が一本のみであり、高規格道路の完成もまだ時間がかかりそうであることから、今、南海トラフ地震が発生しますと、その津波により、この地区のほとんどが孤立状態になるものと思われます。今、巨大災害が近づく中、この地区での孤立化対策は非常に急がれます。 私は二十数年前、一般質問で、南海地震やその津波により被災し孤立した地域をフェリーなどにより救援することを提案いたしました。フェリーに医療機器を積み込むと、代替の病院となり、客室は避難場所に、そして水も食料も燃料も十分にあり、また無線機も備わっていることから、災害対策本部としての活用もできるなど、まさにすばらしい総合的な災害救援が行えます。 このことから、このフェリーなどによる救援策をぜひ進めてほしいと提案いたしました。またあわせて、この救援船による訓練もお願いいたしました。そして、その半年後には、自衛隊の船を利用しての救援訓練を行っていただきました。 それから二十数年がたちましたが、この救援策はあまり進んでいないように思います。この問題点としまして、フェリーなどの船舶の借入れや医療機器の保管、そして津波による湾内の災害ごみなどがあります。そこで、これらの問題点ももう一度方策を検討し、発生時、迅速に事を進めることができるようにしておかなくてはなりません。 ここで、災害ごみの撤去については、大きな災害ごみが多いことから、台船やクレーン船などが必要となりますが、広域災害時にこれらの船を回していただくには、もともと数が少ない上、津波により多くが被害を受けることから、撤去するには長期間かかるものと思われます。したがって、その災害ごみを取り除いて、フェリーなどが岸壁に横づけられるまでの間、何らかの連携体制が必要です。 そこで、今回の質問の後のほうで申し上げますが、人も乗れるドローンの開発がもう目の前に来ておりますことから、このドローンを使って救援船と陸上とを結べば、けが人や病人、そして救援物資も簡単に運ぶことができます。ぜひドローンによる連携体制も視野に入れておいていただきたいと思います。 そこで、質問です。 まずは、隣接する高知県東洋町と海部郡、両地区を防災面からも同じ圏域として、甲浦港を利用したフェリー等による孤立化対策など、相互協力体制を充実強化してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。 さて、私は、南海トラフ地震が発生すると、今のままでは被災後の生活さえも続けていくことが困難になるとの思いから、自分たちだけで、地域だけで生き続けていけるようにしておく必要があるとの考えに行き着きました。そして、それをノアの方舟計画としてまとめ、県にこの計画を進めるよう促してまいりました。 そして、このノアの方舟計画を進めるに当たって、これが欠けると地域の復活はあり得ないと思われるものを中心に、その具体策について考え続けてまいりました。その中で、今回は、し尿についてであります。 人のし尿は、浄化槽、下水道で処理されたり、くみ取り槽に貯留した後、収集車でし尿処理場へ運ばれ処理されています。また、浄化槽にたまった汚泥も、し尿処理場に運ばれ、最終的な処理が行われています。 ここで、本県の沿岸地域におけるし尿、下水の処理施設の設置状況を見てみますと、し尿処理場は六施設、海部、美波、徳島第一・第二、松茂、北島があります。また、下水道の終末処理場は八施設、宍喰、海部、浅川、日和佐、富岡、徳島中央、徳島北部、旧吉野川があります。 ここで、これら施設について、南海トラフ地震による津波が発生した際の被害の可能性について、津波想定区域を基に見てみます。 し尿処理場は、六施設全てが津波想定区域にあることから、津波被害を受ける可能性があります。また、下水道施設は、計八施設のうち六施設、宍喰、海部、浅川、富岡、徳島中央、徳島北部が、津波による被害を受ける可能性があるとのことでした。さらに、下水道では、終末処理場が津波によって直接被害を受けなくても、津波が引くとき、下水道の本管や流入管の破損したところから津波の水が流入して終末処理場へと流れ込み、大きな被害を被ることも考えられます。 このように、沿岸部にあるし尿処理場や下水道施設は、そのほとんどが津波による被害を被り、し尿の処理ができなくなってしまうように思われます。 ここで、東日本大震災のときの浄化槽の被害状況を参考に見てみます。 宮城県の気仙沼市と名取市等を合わせた百十七基を対象とした調査では、全損は三基のみであり、本体が浮き上がったり沈下したりしたものが五基と、両方合わせても八基、約七%でしかありませんでした。よって、ほとんどの浄化槽は、し尿の貯留容器としての使用が可能で、一時的にくみ取り方式として代用し、一定水準の被災生活が可能と思われます。しかし、し尿処理場が被害を受けてしまうと、発生するし尿の最終的な処理はできなくなってしまい、被災生活での衛生環境の悪化が懸念されます。 私は、南海トラフ巨大地震による津波により、東京から九州そして瀬戸内海の沿岸部まで、多くのし尿処理場や下水道施設が被災し、復旧、修復には長期間かかる、いや、その多くが修復できないものと思われてなりません。そのとき、被災地区でのし尿処理はどうするのでしょうか。 そこで、質問です。 このように、し尿の処理だけ見ても、平常時の在り方、法規制のままでは、大規模災害という非常時のし尿の処理はできず、その地域で生活していくことが困難となり、廃村、廃地域化するように思われてなりません。したがいまして、平常時は平常時の法規制などがありますが、非常時には非常時の、例えば、し尿の海洋投棄や肥料としての利用など、し尿処理の在り方を、地震や津波が発生してから慌てて対策を練るのではなく、平常時の今から非常時の対策を練り、仕様の在り方を決めておく必要があるものと思われます。 当然のことですが、徳島県だけで決められるものではありません。したがいまして、国へ提言、そして全国知事会や関西広域連合などでも話し合っていただきますよう、よろしくお願いいたします。 多くの地域の存続に関わる問題、このような重大な問題については、事前に対策を講じておくことこそが危機管理そのものだと思いますが、いかがでしょうか。 続きまして、ドローンを活用した野生鳥獣対策や自然の山づくり、巨大災害時の食料対策についてであります。 私は、二十六年前の一般質問で、イノシシ、鹿等の対策として、針葉樹や広葉樹が交ざり、動植物などに優しい森林を、里山から離れたところなどに餌場として点在させる事業を提案いたしました。イノシシ、鹿などの対策として、柵やわな、頭数制限などをするだけでなく、動物が生きていける環境として、山奥に食べられる実などができる植物を植え、そこに追いやる事業であります。 県は、すぐに調査を開始し始めましたが、その直後、国は、私が提言したものと全く同じ事業を展開しかけました。県は、既に取りかかっていたこともあってか、全国で四県のモデル県として認めていただきました。 しかし、残念ながら、県内市町村のどこも手を挙げてもらえず、この餌場事業を進めることはできませんでした。そして今、その当時以上に、イノシシ、鹿などの被害は大きくなってきており、農業は動物の餌をつくっているようなものとのことからも、農業をやめたいという人が多くなってまいりました。 農業を進めるに当たっては、このイノシシ、鹿等の対策こそが大切であり、要であると思います。そこで、もう一度、この餌場事業を見直してみることにしました。 そこで、質問です。 この餌場事業、前回は食べられる実のなる木などを植える事業でありましたが、今行うとなれば、ドローンにより空中から種を山へ散布すれば済み、それも、山林の伐採地や雑木林、崖地など、どんなところへも簡単に種をまくことが可能です。それも、費用はほとんどかかりません。そして今、山の自然が荒れている中、この自然を取り戻すことにもつながります。 その上、南海トラフ地震などの巨大災害が近づく中、来れば株や円などの暴落は十分にあり得、そのときには、今外国からそのほとんどを仕入れている化学肥料や化学農薬、また農機具の燃料などが手に入らなくなり、今までのような農業は難しくなるように思います。この餌場事業は、そのとき我々の食料基地としての役割をも十分果たしてくれるものと思います。 ドローンを活用し、野生鳥獣対策や自然の山づくり、また巨大災害時の食料対策にもなり得る取組を実践してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 御答弁をいただきまして、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 西沢議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、コロナ禍における大規模災害全般を捉えた対策について御質問をいただいております。 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、切迫する南海トラフ巨大地震や、頻発化、激甚化いたします豪雨災害など、コロナ禍における大規模災害への備えはまさに喫緊の課題であります。 県におきましては、特に避難所でのクラスター発生による爆発的な感染拡大を懸念し、県民の皆様方に分散避難を呼びかけるとともに、市町村と連携し、サブ避難所の確保をはじめ、避難所における新型コロナ対策を積極的に推進いたしているところであります。 一方、令和二年七月豪雨の被災地では、感染を防ぐために、災害ボランティアの受入れを県内在住者に限定したことから、十分な人員が集まらず、復旧・復興に遅れを生じたことがあります。 そこで、災害ボランティア御本人はもとよりのこと、被災地の皆様方の安全・安心を確保するため、全国初となる全額公費負担によります災害ボランティアの皆様方へのPCR検査や抗原検査の実施体制を整備するとともに、県社会福祉協議会と民間IT事業者との間で締結した協定に基づき、クラウド上に新たな情報共有システムを構築し、災害ボランティアのオンライン受付、活動場所や人員のリアルタイムでの把握など、ICT技術を活用し、コロナ禍における災害ボランティアの活動を支援いたしてまいります。 さらに、去る十一月八日、本県で開催いたしました近畿府県合同防災訓練におきましては、参加機関をリモートでつなぐ図上訓練や、県内の自衛隊、警察、消防によります感染症対策を念頭に置いた実動訓練など、ウイズコロナ時代の災害対応について検証いたしたところであり、コロナ禍でも的確な災害応急活動を展開することができるよう、自衛隊をはじめ関係機関との連携をしっかりと深めてまいります。 また、発災直後から最前線で災害対応を担っていただく市町村では、コロナ禍により、これまで以上にマンパワーの確保が課題となりますことから、県や県内の市町村から応援職員として派遣する徳島県災害マネジメント総括支援員や住家被害認定調査員のさらなる養成を進めるべく、研修の充実を図っているところであります。 加えて、このたびのコロナ禍を契機といたしまして、災害に強い自然エネルギーや水素を活用した自立分散型電力供給システムの導入促進によります持続可能な地域づくりを進めるとともに、企業における事業継続の取組として、テレワークの推進をはじめ、デジタルトランスフォーメーションの実装により、コロナ禍における災害対応力の強化につなげてまいります。 今後とも、複合災害を迎え撃つとの強い気概の下、発災時の死者ゼロを目指す本県の取組の加速だけにとどまらず、全国知事会や関西広域連合におきましても幅広く議論を喚起し、新型コロナと災害列島という二つの国難を打破する新たな政策を国に積極的に提言いたしてまいります。 次に、本県海部郡と高知県東洋町における防災の相互協力体制の構築について御質問をいただいております。 ともに太平洋に面し、隣接する両地域は、海部病院への通院や海部高校への通学、海陽町大手海岸や東洋町生見海岸でのサーフィン大会の開催など、四国の右下として、従来から生活や文化を同じくしているところであります。両地域におきましては、命の道となる阿南安芸自動車道海部野根道路が、昨年度、事業化されるとともに、本年夏には、阿佐海岸鉄道による世界初となるDMV営業運行が開始されるなど、双方の結びつきは今後ますます深まるものと、このように認識するところであります。 一方、両地域は、南海トラフ巨大地震発災時、揺れや津波による甚大な被害が想定されており、特に海陽町と東洋町は、国の南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画におきまして、孤立が想定される自治体と位置づけられているところであります。 こうした課題を克服するため、空路からの応援拠点となる海陽町の野外交流の郷まぜのおか、海路からの応援拠点となる東洋町の甲浦港や白浜海岸など、それぞれが有する防災資源を相互に有効活用することは、総合的な災害対応力の向上につながるものと考えております。 そこでまずは、関係自治体によります顔の見える関係を築くため、本県から海部郡三町はもとよりのこと、高知県、東洋町に積極的に働きかけ、南海トラフ巨大地震対策連携協議会を本年四月にも立ち上げることといたしております。 この連携協議会では、相互の防災資源を活用した救助・救急等の活動手順、自衛隊、警察、消防など実動部隊の受援体制、自主防災組織や消防団の連携など、共同で取り組む具体的な対策を検討いたしますとともに、議員御提案の船舶を活用した洋上DMAT活動訓練をはじめ、実践的な共同防災訓練の実施につなげてまいります。 今後とも、本県海部郡と高知県東洋町のさらなる連携強化を図り、切迫する南海トラフ巨大地震を共同で迎え撃つ体制を早急に構築することにより、都道府県域を超えた先駆的な災害対応モデルとなりますよう、しっかりと取組を進めてまいります。   (福井副知事登壇) ◎副知事(福井廣祐君) ドローンを活用した野生鳥獣対策や自然の山づくりについての御質問でございますが、野生鳥獣対策につきましては、これまで、有害鳥獣捕獲に加え、侵入防止柵の整備、収穫されない果樹や農作物の除去など、捕獲と防護の両輪で取り組んでまいりました。 この結果、昨年度の野生鳥獣による農作物の被害額は九千四百万円余りと、平成二十年度以降十一年ぶりに一億円を下回ったものの、さらなる被害防止対策が必要であると、このように認識しており、議員御提案の自然の山をつくる取組につきましても、里山から離れたところに野生鳥獣の生息地を確保する新たな手法の一つと考えております。 これまで県では、森林における生物多様性の保全に向け、間伐による針葉樹と広葉樹の混交林化や、伐採後の広葉樹の植栽などに支援を行ってまいりました結果、植林面積の約一割におきまして、クヌギ、ケヤキ、山桜などの広葉樹が植栽されてきたところであります。 また、近年、様々な分野で実用化が進んでおりますドローンの活用につきましては、既に那賀町や海陽町、東みよし町などの植栽現場におきまして、苗木や鳥獣害防護資材の運搬を試験的に実施しており、作業の効率化、省力化の効果が実証できたところであります。さらに、空中からの散布につきましては、過去に、急傾斜の崩壊地におきまして、ヘリコプターから土壌改良材に種子を混ぜて吹きつける航空実播工を実施し、早期の緑化に成功した事例もございます。 こうした実績から、ドローンによる種子の散布は技術的には可能と思われる一方、散布した種子が鳥獣に捕食されずにどの程度発芽するのかをはじめ、発芽後の成木するまでの食害防止対策、鳥獣の餌のみならず人も食べられる果樹も含めた適切な樹種の選定、収益面での森林所有者の理解、協力など、様々な課題がございますことから、餌場づくりの有効性を調査研究してまいりたいと考えております。 今後とも、鳥獣被害の軽減や自然の山づくりはもとより、災害時の食料確保対策も視野に入れながら、狩猟による捕獲対策や侵入防止柵による防護対策、広葉樹林の育成などを総合的に展開してまいります。   (瀬尾政策監登壇) ◎政策監(瀬尾守君) 大規模災害時におけるし尿処理の在り方についての御質問でございます。 東日本大震災時におきましては、避難所や被災住宅への仮設トイレの設置、し尿や浄化槽汚泥の収集運搬体制、さらには、津波により被災した施設の復旧までの間の円滑なし尿処理などが課題となったところであります。 災害時における適切なし尿処理は、被災者の命や健康を守り、日常生活を早期に回復するためにも、最優先で取り組むべき事項の一つであると考えております。 このため、県では、災害廃棄物処理計画を策定し、仮設トイレやし尿収集運搬車など必要な資機材の調達、民間団体との災害時のし尿収集運搬に関する協定の締結による収集運搬体制の確保、さらには、し尿の堆肥化によります再生利用の促進など、災害時のし尿処理体制の構築に取り組んでまいりました。また、現在策定中の第五期廃棄物処理計画に、県内の東部、南部、西部の各圏域内での持続可能な一般廃棄物の適正処理の推進を盛り込み、大規模災害の発生を想定した沿岸部のし尿を内陸部の処理施設で受け入れる仕組みづくりに努めるとともに、し尿の収集運搬処理を官民一体で行うための新たなルールづくりを進めてまいります。 さらに、議員お話しのとおり、地域の力だけで生き抜くということは重要な視点であり、災害時におけるし尿処理の在り方について、緊急避難的対応を含めた様々な課題を抽出し、現実的な対応策をテーマに、国や課題を共有する他の自治体との意見交換を行うとともに、新年度には、近年頻発する災害における最新の知見を踏まえ、初動対応や民間事業者との連携の強化を図る災害廃棄物処理計画の見直しを行ってまいります。 今後とも、災害列島という国難打破のため、迅速かつ円滑な復興に向けた持続可能な地域づくりにしっかりと取り組んでまいります。   (西沢議員登壇) ◆三十四番(西沢貴朗君) コメントは最後にさせていただきます。 続きまして、自然環境についてであります。 産業革命から始まった人間の活動による自然環境の変化は、ついには地球自然の許容の限界点にまで達してしまったように思います。 今まで、我々人間は、温暖化など自然環境の悪化への対策として、科学の力に頼ることが多くありましたが、人間が知らない間に大変な状態となっていることもありました。そうであっても、なお今、人間社会は、AIなどにより、急速に変わろうとしています。そのため、人間をも含めた自然環境は、今後、劇的に変わっていくものと思われます。 このように、大変な時代が来るものと思われることから、いま一度原点に立ち返って、みんなでこの問題について考えてほしいとの思いから、質問に取り入れました。 ここで、私が人間を含む自然環境の問題点について基本的に押さえておきたい点としては、一、まず、自然と人間との共生について、二、そして、きれいな水など、きれいということについて、三、また、自然や人間の変化についてなどであります。 まず、一の、自然と人間との共生についてであります。 今、自然との共生という言葉がよく使われていますが、この共生とは、自然と人間が共に生きるということ、つまりは自然と人間とを対等に見ていることであります。これは、人間が自然をよく知っているということにつながりますが、果たして人間は本当に自然をよく知っているのでしょうか。 例えば、フロンガスが世に出てきたとき、夢の物質とまで言われ、すごい評価を受けましたが、時間がたって、オゾン層が破壊されることが分かってくると、悪魔の物質とまで言われるようになりました。その上、その代わりに使った代替フロンも、二酸化炭素の数百倍から数万倍の温室効果があることが分かり、大問題となりました。 また、過去には、ペストなどのウイルスが何度も世界を震撼させてきましたが、今回の新型コロナウイルスも世界中の人々を震え上がらせており、多くの研究者たちが全力でその対策には取り組んでいますが、駆逐するのは容易ではなさそうです。 このように、人間が自然のことをよく知っていての共生ということには非常に無理があるように思います。もう一度、この共生について、しっかりと考え直してみる必要がありそうです。 次に、二の、きれいについてであります。 私たちがきれいな水といいますと、澄んだ水、毒がない水などであり、人間が環境問題で捉えているきれいとは、人間から見てのことのようであります。確かに、下水道や浄化槽の普及により、海や川などは、人間の活動から出た廃水などが少なくなり、人間から見てきれいな水にはなりましたが、以前そこにすみ着いていた魚などの生き物たちにとっては、必要な栄養分までが少なくなったため、そこに生息していくことが厳しくなりました。そのため、以前のような自然の海や川とは言えない、違ったものになってしまいました。 今、そのことを見直そうとの動きが始まってきたようです。今こそ、環境に対する在り方を、人間目線からだけではなく、自然目線からも見ていかなくてはいけないように思います。 続きまして、三の、自然や人間の変化についてであります。 まず、その中の、自然の変化についてであります。 温暖化から始まる気候の変動などが大きな問題となっており、今、世界がその対策を早急に進めようとしています。しかし、その動きはまだまだ遅過ぎるように思えてなりません。 そして、問題は温室効果ガスだけではなく、魚介類の捕り過ぎなど、人間の活動が活発になり過ぎて、地球が小さな存在になってしまったことも大きな要因だと思います。今始まったばかりの太陽光発電も、自然に優しいと言われていますが、これも太陽からのエネルギーを人間が独り占めし過ぎてしまうと、自然界もエネルギーバランスを欠き、人間も住めないような荒れ狂った自然になってしまうかもしれません。 先月十四日に放映されたNHKスペシャル「二〇三〇 未来への分岐点」で、三年前に発表されたホットハウス・アース理論のことが映されていました。その内容は、非常に衝撃的なものでした。 地球の気温は今、プラス一・二度上昇の状態にありますが、プラス一・五度が臨界点であり、この臨界点を超えると地球は暴走し、止められなくなる危険性がある、そしてこのままいくと、早ければ二〇三〇年にはプラス一・五度に達するというものでありました。そして、このプラス一・五度が臨界点だと示す証拠が続々と出てきているとのことでした。また、その証拠をしっかりと突きつけていました。人間がその活動について足ることを知ることこそが、我々人間が永久に生き続けていく上で大変重要な視点だと思います。 続きまして、人間の変化についてであります。 この四十年間に男性の精子の数は半減しているとの研究データが発表され、このままでいくと、あと四十年で精子の数はゼロになることも考えられるとのことであります。また、男女別の出生率を見てみますと、普通、男性のほうが女性よりも多く生まれますが、五十年ぐらい前から徐々にその差が縮まってきています。事実、今の若い男性は、昔に比べて何かが変わってきているように思います。 これらの原因として、環境ホルモンなどがクローズアップされていますが、長い人類の歴史の中で、人間そのものが今大きく変わろうとしています。いや、既に人間も絶滅危惧種に入っているのかもしれません。 数年前、弱冠十五歳のスウェーデンの女性グレタさんが、なかなか進まない環境問題に業を煮やして、座込みなどの実力行使に打って出ました。それが世界へと波及いたしましたが、このように、今我々は、人間を含む環境問題を、早期に解決を図るため、強引に牽引する何かが必要なように思います。 そこで、質問です。 人間そのものも自然も非常にせっぱ詰まったところまで来ていると思われますが、人間も自然の一員であることから、人間を含む自然環境問題として捉え、この問題に本気で取り組んでいただきたいと思います。私が今までに一般質問で取り上げてまいりました環境型のスローライフは、まさに人間を含む自然環境問題への取組でもあり、また、環境問題をより具体的に強力に牽引していく方策でもあります。 今回は、ぜひ環境型のスローライフにも積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 続きまして、ドローンによる関空等へのアクセスについてであります。 今、空飛ぶ自動車またはドローンが世界中で急ピッチに開発競争がなされており、あと数年で、安定飛行やスピード、そして航続距離、自動運転など、飛行に必要な技術がクリアできそうであります。 私は二十一年前、一般質問で、関西国際空港への新たなアクセス手段として、ヘリコプターによる新定期航路を提案いたしました。当時、明石海峡大橋の開通により、多くの海上交通が撤退に追い込まれていました。そこで、私は、ヘリコプターであれば関空まで十五分程度で行くことができることから、ヘリコプターによる新たな定期航路が可能かどうかを考えてみました。 それまでに、日本でもヘリコプターによる定期航路は幾つかありましたが、騒音や価格、管理費用など多くの問題により、ほとんどが経営をやめていきました。私もそのときには、その難しさから断念いたしました。 それから二十年たった今、ヘリコプターに代わる新たな乗り物、ドローンが登場し、安全で軽く安価な固体電池の開発も手の届くところまで来たことから、特にドローンは、数年後には世界を圧巻するまでになっているものと思われます。ドローンは、騒音や価格、管理費用など、ヘリコプターの欠点を物の見事に克服できそうであります。 事実、日本の多くの企業や大学などが開発を進めています。トヨタなどは、トヨタ出資の米国企業が、米国企業ウーバーの空飛ぶタクシー部門を買収し、開発を進めています。そして、二〇二三年には、四名の乗客を乗せ、一回の充電で最大二百四十キロ、時速三百二十キロで飛行でき、また手軽な価格で、空飛ぶタクシーのサービス運用を開始するとのことであります。 日本では、以前、首相官邸の屋上にドローンが墜落したことから、その使用が非常に厳しく制限されてまいりました。しかし、世界中がドローンの過当競争の時代となっている今、日本も待っておれず、この競争に参加し、追い上げていきたいものと思われます。しかし、まずは安全が第一であり、それが確保でき、その上、必要性や利便性が十分ある計画などから開始の許可が下りるものと思われます。 そこで、質問です。 例えば、ドローンタクシーによる沖洲から対岸の関空かその近辺への航路を考えてみてはと思います。沖洲には、離発着に十分な広場があり、目の前の海へ出て海上を沿岸に沿って有視界の飛行をすれば、この海は海峡であることからも、より安全な飛行ができるものと思われます。この航路は、紀淡トンネル構想もあるほど、対岸との交通が悲願であります。現在は、船で関空への運航が始まりましたが、少人数乗りのタクシーとしての利用は、出発の時間制限もなく、あまり時間がかからず関空などへ行くことができます。 そして、その他の利活用として、渦潮などの空からの観光や、山や海などでの行方不明者の捜索や救助、また、けが人や病人の搬送、そして南海トラフ地震などの災害時には孤立集落や離島とのつなぎや、フェリーなどによる救助船が災害ごみのため入港できないときにも、フェリーと陸上との間を、けが人や病人、災害物資などの搬送などに利用できます。このように、タクシーとしての利用以外にも、多くのことに利用できます。 このドローンタクシーの実用化や規制のクリアにはまだ数年はかかりそうでありますが、だからこそ今からしっかりと手を挙げて計画をアピールし、例えばトヨタなどのトップグループとも連携した取組を始めなければならないものと思いますが、いかがでしょうか。 続きまして、これからの自治体の在り方についてであります。 今後、県の自治体としての在り方はどうあるべきかを考えてみました。 今まででも、日本は大きな借金を抱え、厳しい財政運営を余儀なくされてまいりましたが、その上、新たなウイルスの出現は、世界や日本の経済や財政を強烈に圧迫しています。そしてその上、AIやドローンなど新たな技術も加わり、社会までもが急激に変化していこうとしています。このような大変な、そして急激に変わる時期にあって、県の今後の自治体としての在り方はどうあるべきなのか、しっかりと考えなければならないものと思います。 まず、過去の一般質問の中から、行財政の在り方を強烈にアピールした質問を二名取り上げてみました。 一人は、二十六年前の北岡秀二元県議の質問です。急速に進む環境の変化に対して、新たな政策課題に対応していくためには、県庁内組織の見直しをするなどして、柔軟な発想を引き出し、時代の潮流を正確に捉え、時には大きな観点から大胆な提案を行う必要があるとしました。 そしてもう一人は、二十四年前の阿川利量元県議の質問です。時代に合った予算を効率的に編成すること、そのためには、これまでの局、部を中心とする手法を改め、テーマや政策ごととし、横断的なものとすること、こうすれば部局間の連絡調整は今まで以上に強化されるとしました。つまり、急速に社会が変化していく中、行政の枠にとらわれず、時代の潮流を正確に捉え、時には大きな観点から大胆な発想も必要などが問われました。 ここで、県の現状を見てみますと、部局を横断した調整役として、多くの部局とつながった兼務職員から成っている総合政策課があり、また、これとはまた別に、部局を横断した六つのプロジェクトがあります。そしてまた、担当部局を超えて、若手職員の柔軟な発想を施策に反映する手法として、タスクフォースもあります。 このように、今までの一般質問での提案も踏まえたものとなっているようです。しかし、先ほど申しましたように、これからの社会は、国の財政も社会も、今までの時代とは全くかけ離れた、全く違った世界が待ち構えているものと思われることから、いま一度、県の自治体としての在り方、進め方をゼロから見直すときであると思います。 例えば、行財政のより一層の効率・効果的な運営方法の見直しはもちろん、今まででも県の市町村への介入はありますが、先ほど申しましたように、巨大災害の津波で下水道などが使用不能となり、その地区全域が廃地区となるような重大なものは、担当が市町村といえども、行政の枠を超え、より積極的な介入が必要だと思います。また、これも先ほど申しましたが、法規制の在り方として、巨大災害が発生したときのような非常時には、非常時のときの法規制の在り方も平常時の今から検討し、すぐに行動を起こせる体制を整えておく必要があるものと思います。 そこで、質問です。 今回の質問の中にもいろいろと盛り込みましたが、今後の自治体の在り方として、この時代に合った、より大きな視点や、また市町村や県域を超え、今までの行政の枠にさえもとらわれず、また、南海トラフ地震のときのような非常時には非常時のときの法規制の在り方にまで踏み込むなどの、大胆で、より広範囲な発想、ゼロからの発想、そしてそれをいち早く実行に移せる体制なども求められるものと思いますが、いかがでしょうか。 御答弁をいただきまして、まとめに入らせていただきます。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、環境型スローライフに向けた取組をさらに進めるべきとの御質問をいただいております。 産業革命以降、世界規模での工業化の進展は、生活の利便性や経済的豊かさをもたらした一方で、化石燃料の消費増大に伴います地球温暖化をはじめ、資源の枯渇や生物多様性の損失といった深刻な地球環境問題を引き起こしているところであります。 こうした中、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を目指すSDGsでは、二〇三〇年までに達成すべき十七の目標のうち、十三の目標、こちらが環境に関連しているところであり、自然環境の保全と心豊かな暮らしを提案するスローライフの発想は、この目標達成にもつながるものと、このように認識いたしております。 そこで、県では、環境基本計画の重点戦略の一つに、環境に配慮したエシカルなくらしづくりを掲げ、人間も生態系の一部であり、地球環境の中で生かされているとの認識の下、フードバンク活動への支援や、おいしい徳島!食べきり運動の展開などによります食品ロスの削減、県民一人一人がプラスチックごみを出さない消費行動を実践する私たちのプラごみゼロ宣言、省エネ活動をはじめとするエシカルな生活を促す徳島夏・冬のエコスタイルの推進などの取組に意を用いてまいったところであります。 こうした取組を次の世代に継承し、さらに発展させるため、未来を担う子供さんたちへのアプローチとして、来年度、新たに徳島県版こども環境白書を作成し、環境出前授業や環境首都学校講座の教材として活用することによりまして、議員からもお話のあったスローライフに通ずるライフスタイルの転換や環境保全の重要性の浸透をしっかりと図ってまいります。 加えて、気候危機とも言われる深刻化する気候変動への対応や、コロナ禍を踏まえた新たな生活様式の定着が喫緊の課題となっていることから、新年度早々にも官民協働の協議会を立ち上げ、県民の皆様方に気候変動に対する備えや新たな気づきを促すエコスタイルの進化に向けて議論を深めますとともに、心豊かな暮らし、スローライフを念頭に置きつつ、県民生活への普及拡大を図る活動を積極的に繰り広げてまいります。 今後とも、とくしま環境県民会議をはじめ多様な主体の皆様方と連携を図り、環境首都とくしまとして、世界的課題であるグリーン社会の実現に向け、しっかりと全国をリードいたしてまいります。 次に、今後の自治体の在り方について御質問をいただいております。 現在、我が国では、新型コロナウイルス感染症や人口減少、災害列島の三つの国難に直面し、個々の自治体では対応が困難な広域課題が山積しており、議員お話しのとおり、特に危機事象が発生した際には、弾力的な行財政運営はもとよりのこと、市町村への支援や県域を超えた広域連携がまさに不可欠となるところであります。 こうした中、我が国初の都道府県域を超える行政主体、関西広域連合におきましては、本県も設立当初から参画し、東日本大震災や平成二十八年熊本地震でのカウンターパート方式による被災地支援、管内ドクターヘリ七機体制により補完し合う二重三重のセーフティネットの構築など、今日における様々な広域行政像を創出してきているところであります。 また、全国知事会におきましては、令和元年九月、私が全国知事会長に就任以来、同年、東日本を中心に甚大な被害をもたらしました台風第十五号、第十九号や、令和二年七月豪雨など、被災地のニーズに応じた迅速な支援の実施をはじめ、様々な全国的政策課題に、四十七人の知事がスクラムを組み、正面から立ち向かってまいったところであります。 さらに、新型コロナウイルス感染症対策におきましても、昨年二月以降、数次にわたり緊急対策本部会議を開催し、各都道府県の現場の声を盛り込んだ緊急提言を国に対しタイムリーかつスピード感を持って申入れをした結果、総額四・五兆円の地方創生臨時交付金の創設や、新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法の改正、新型コロナウイルスワクチン接種体制の整備といった数多くの提言が具現化するなど、四十七都道府県の英知を結集し、一日も早い収束に向け、全力で取組を進めているところであります。 ウイズコロナからアフターコロナを見据え、持続可能な発展を続けるためには、三つの国難をはじめ様々な広域課題に対し、非常時における法規制や行財政の在り方を含め、これまでの既成概念にとらわれない新たな制度創造や事業実装化を実践し、大胆な国家構造の転換によります新次元の分散型国土の創出が何よりも重要であり、その具現化に向け、本県がしっかりと全国をリードいたしてまいります。 今後とも、全国知事会や関西広域連合、全国都道府県議会議長会をはじめ地方六団体との連携を進化させ、大規模災害や複合災害をはじめ、これまでの常識が全く通用しない未知の世界に積極果敢に挑戦し、国と心を一つに、県民、国民の皆様方の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。   (後藤田副知事登壇) ◎副知事(後藤田博君) 関空等へのアクセスや災害時に活用できるドローンタクシーの実用化についての御質問でございます。 無人航空機、いわゆるドローンについては、近年、農薬散布やインフラの点検、測量等の各分野において、その活用が急速に進んでいるところであります。 議員お話しの、有人で飛行する電動垂直離着陸機、いわゆるeVTOL機については、近年の科学技術の進展によりまして、従来の航空機以外の新たな空の移動手段として大きな注目を集めており、国内外の企業において、商用化に向けた開発競争が繰り広げられております。 国においては、平成三十年に、経済産業省と国土交通省が共同事務局を務める空の移動革命に向けた官民協議会が設置されまして、eVTOL機をはじめとして、いわゆる「空飛ぶクルマ」を活用した新たなサービスの実現に向け議論が進められております。当協議会においては、安全、騒音、環境など、社会的に受容される水準の達成に向けての航空関連法令等の制度整備とともに、災害時や事業利用における実装イメージ、そして機体離着陸場などの運用イメージなど、ビジネスモデルを踏まえた論点整理が行われております。 議員お話しの、関空などへのアクセス航路としての活用につきましては、国が示すロードマップにおいて、現在、ヘリコプターを利用している空港アクセスを、今後、開発の進捗状況に合わせ、空飛ぶクルマへの移行を目指すこととされております。現時点では、安全性、信用性、信頼性のさらなる向上や制度整備など、多くの課題が残されておりますものの、身近で手軽な空の移動手段としてはもちろんでありますが、貨物輸送や災害時の緊急搬送、さらには観光遊覧など、人や物の輸送手段として活用可能なシーンは多岐にわたるものと考えられております。 このため、まずは庁内関係部局による研究会を立ち上げ、メーカーや研究機関における技術開発の状況やビジネス展開の動向について、情報の収集と共有に努めますとともに、最新技術に関する知見を有する専門家のアドバイスをいただきながら、利活用分野、それから導入の可能性について検討を進めることで、地域課題の解決に向け、しっかりと取り組んでまいります。   (西沢議員登壇)
    ◆三十四番(西沢貴朗君) まとめに入ります前に、少し危機管理について話を聞いてください。 当時、防災委員会だったと思いますが、私はその委員会で、危機管理について質問いたしました。すると、担当の者は、日本の行政には危機管理という言葉はございませんと、きっぱり言われました。私は、質問の出ばなをくじかれ、それ以上質問はできませんでした。そして、その直後に阪神大震災が発生しました。 後で確認しましたが、確かに、危機管理という言葉が行政用語辞典に載ったのは、阪神大震災の反省の上に立ってのようでした。私は、日本にはそれまでに、危機に対する管理、危機管理という言葉さえなかったのには唖然としました。 話は変わりますが、少し前に、映画の「決算!忠臣蔵」が公開されていましたが、この中で、予算が厳しくなり、討ち入りの人数を絞ろうというとき、八人の若者が討ち入りに志願を申し出ました。そこで、大石内蔵助は、その八人のうち四人に、おまえたちは、わしらが失敗したとき、残った者で吉良の首を取れとのシーンがありますが、この残った者、つまり第二陣の話は実話であります。私が直接、第二陣の頭首となる人の直系の方、つまり大石内蔵助の親族の直系の方からお聞きした話です。絶対に失敗は許されない中、究極の危機管理体制を取ったものでした。 では、今、日本の目の前に大変な危機が迫る中、国が、県が取るべき究極の危機管理とはどうあるべきなのか。私は、国や県など日本の行政体制が潰れても、国民が、県民が潰れないようにしておくことこそが、究極の危機管理だと思います。 第二次世界大戦直後の日本国内は、預金封鎖や食料難などで大混乱でしたが、まさに国民受難の時代でありました。どんなことが起ころうとも、国民を、県民を守るための政策こそが、究極の危機管理だと思います。 それでは、まとめに入ります。 今回の私の質問は、我々は今の大変な時代をどう生きるべきなのかをテーマに、一年間考え抜いてのものであります。したがいまして、その質問は徳島県だけに落ち着くものではないものが多く、知事及び担当者の方々には大変な迷惑をかけたようにも思います。しかし、私には、このような質問こそが今の時代に合った質問だと思います。 一問目の、コロナ禍での巨大災害につきましては、このコロナの発生が世界中の人々や国々を危機的状況に陥らせていますが、そんな今、南海トラフ地震などの巨大災害が発生しますとどうなるのでしょうか。避難場所の三密対策だけの問題ではなく、日本に住むほとんどの人々が生きていけないような大変な状態になりかねないものと思われます。コロナ禍プラス巨大災害全般をしっかりと捉えた対策こそが今問われているものと思われます。 第二問目の、隣接する高知県東洋町と海部郡、両地区の防災面からの協力体制につきましては、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。 三問目の、し尿処理につきましては、なかなかし尿の処理はそう簡単ではないと思われます。そして、このし尿の処理ができなければ、その地域の再生はあり得ないように思います。また、このような事例はいろいろあるものと思います。 また四問目の、餌場事業につきましては、巨大災害時、日本の食料自給率が平常時のときのものであることも問題であり、このままでは、巨大災害時には食料危機に陥り、日本は壊滅状態にもなりかねません。 なお、自然は、種や卵を他の種に食べられる以上にまき、子孫を残してまいりました。特にお金のあまりかからない方法であります。ぜひとも早急に行動を起こすべきだと思います。 五問目の、自然環境問題につきましては、人間の活動は地球を小さなものにしてしまいました。幾ら効率をよくしても、総量が地球の自然を保つ臨界を超えてしまっては、もう後戻りはできなくなり、人間も生きてはいけません。また、人間の知恵は自然界全体を把握していないため、人間の知らないところで大変な副作用が発生する危険を完全に排除することはできません。やはり人間も自然の一員であること、そして、足ることを知ることも、人間が永久に生きていくための重要な要素であると思います。 六問目の、関空等へのアクセスにつきましては、徳島県は最高の条件下にあり、また、多くのことに活用できることも大きなメリットです。後れを取ることなく、早急に進めていただきたいと思います。 また七問目の、これからの県の行財政の在り方につきましては、今後、行政も社会も大きく変わろうとしている世の中に対処するためには、今までのやり方では通用しないものと思われます。そのため、行財政やその執行体制の在り方をもう一度ゼロから考えてみる必要があるものと思います。 このように、ほとんどの質問を通して、世界や国、全行政、全国民などへのメッセージを込めたものであります。人類の長い歴史の中にあって最大とも言える人類の危機の時代と思われますが、現代に生きる我々は、特に行政を預かる我々は、人類の歴史に大きな責任があると思います。今、我々は何をなすべきなのか、しっかりと見据え、みんなが一丸となって頑張っていこうではありませんか。 私の代表質問のとき、私が生まれて初めての大雪となりました。雪害がないことを祈りますが、この雪が世の中を浄化してくれることを望みます。 これで全ての質問を終わります。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(岡田理絵君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後零時四十一分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後一時四十七分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     仁  木  啓  人 君     九  番     東  条  恭  子 君     十  番     浪  越  憲  一 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     古  川  広  志 君     十七 番     高  井  美  穂 君     十八 番     長  池  文  武 君     十九 番     吉  田  益  子 君     二十 番     岡     佑  樹 君     二十一番     元  木  章  生 君     二十二番     岡  田  理  絵 君     二十三番     南     恒  生 君     二十四番     岩  丸  正  史 君     二十六番     黒  崎     章 君     二十七番     扶  川     敦 君     二十八番     達  田  良  子 君     二十九番     喜  多  宏  思 君     三十 番     重  清  佳  之 君     三十一番     嘉  見  博  之 君     三十二番     岡  本  富  治 君     三十三番     杉  本  直  樹 君     三十四番     西  沢  貴  朗 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○副議長(岡田理絵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 十八番・長池文武君。   (長池議員登壇) ◆十八番(長池文武君) 新しい県政を創る会の長池でございます。少々派手なマスクで登場いたしました。 このレインボーカラーというのは、多様性を意味しております。今日も私、最後にLGBTの質問をするわけでございますが、LGBTにおいては、これがシンボルカラーとなっています。我が会派のイメージカラーでもありますんで、あえて今日、こういうふうなマスクをさせていただきました。これ取ったほうがしゃべりやすいので。 ちょうど、新しい県政を創る会として結成しましてもう一年になりました。仁木さんと、最初は二人だったんですけど、吉田さん、東条さんも合流しまして、一年たちました。特に、女性お二人の経験に裏打ちされた御意見であったり行動力というのは、本当に私にとって、この一年、刺激的でありましたし、ありがたかったと思います。本当にお二人には感謝しております。ありがとうございます。 じゃあ、質問に入ります。 まず初めに、県と国の財政についてであります。 最近、多くの県民の皆様からよく声をいただきますので、そういった声をそのままお伝えしようと。あくまで県民目線ということでございますので、財政と言いながらも、具体的な数値や詳細なデータは私からはお示ししませんので、御容赦いただきたいと思います。 さて、新型コロナウイルス感染が広まりまして、生活も経済も変わってしまって一年がたちました。この間、手探りの中、様々な対策が講じてこられましたが、大体その多くは県や国がお金を出してきているわけですが、これまでの自然災害と違い、全国全てが対象で、しかもかなり長期的に危機がそこに存在しておりまして、その対策となると、莫大な金額となっております。 そんな中、最近よく聞かれるのは、それは県や国のお金を心配する声であります。県民からは、どれだけ借金が増えたんかなとか、これってやっぱり次の世代に背負わせることになるんちゃうんかなと、県の財政は問題ないんだろうか、国は破綻しないのかというふうな声が直接私のほうにも届いてまいります。 そういうことで、コロナ発生から一年がたって、新型コロナの経験に、我々も経験に基づいて、正しく恐れるっていう知恵が備わってきまして、多少、一年前と比べると、過度な危機感というか恐怖感というのは落ち着いてきたんですけれども、そうなってくると、今度はやっぱりそういった財政に対する疑問といいますか不安を感じるようになったわけです。 従来、この県議会の場で国の財政のことを知事に伺うというのは筋違いかなあとは思うんですけれども、皆さんも御承知のとおり、知事は今、全国知事会の会長であります。これまでも国に対してたくさんの要望を上げられているということで、国の財政にも本当によく御理解といいますか、よく御存じだと思いますので、この県民の不安に対して御説明いただけたらと思います。 今日も多くの方がケーブルテレビを御覧になっていただいておると思います。見ていない方には私からちゃんと説明もしないといけないので、ぜひ分かりやすく、使える言葉として御説明いただけたらと思います。 では、改めてお伺いします。 県や国は、コロナ対策で多額の財政出動を実施しており、県民や国民からは、今後の財政運営への影響を懸念する声が出ています。徳島県知事として、また全国の知事会長として、そうした不安を払拭するため、強いメッセージを発信していただきたいと思うのですが、御所見をお伺いいたします。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 長池議員の御質問にお答えさせていただきます。 コロナ対策で多額の財政出動を実施する中、今後の県や国の財政事情、財政運営について、徳島県知事として、そして全国知事会長として強いメッセージを発信していただきたいとの御質問をいただいております。 全国知事会におきましては、国の動きと軌を一にしまして、昨年の一月三十日、新型コロナウイルス緊急対策会議の設置以降、局面が変わるごとに、徳島をはじめ地方の声を盛り込んだ計四十本もの政策提言を取りまとめ、総理はじめ関係閣僚並びに立法府の皆様方に対し、タイムリーに打ち込んでまいったところであります。 特に、昨年の三月十日、国と地方の協議の場におきましては、当時の安倍総理に直接、今回の新型コロナウイルスは東日本大震災がまさに全国で起こった、まさに大災害である、このように申し上げ、何としても業を守り抜くとの強いアナウンスと、当座をしのぐための給付、当面をしのぐ融資、その創設を提言させていただいたところであります。 その結果、本県が全国に先駆け、ちょうど三月十日、この議場の場でありましたが、創設いただきました融資連動型の企業応援給付金の制度が、国の令和二年度第一次補正予算、ちょうど四月三十日でありましたが、この補正予算における持続化給付金の創設につながるとともに、総額四・五兆円の地方創生臨時交付金、また総額四・六兆円の緊急包括支援交付金など、感染拡大の防止と社会経済活動の維持との持続的な両立を図るために不可欠な予算がしっかりと確保されてきたところであります。 本県におきましても、昨年の三月以降、機動的に補正予算を編成し、総額千九十一億円に上りますコロナ対策予算、こちらを計上するとともに、令和三年度十五か月予算におきましては、知事就任以来最大規模の総額五千五百七十八億円の予算を編成し、医療提供・入院受入体制の充実強化はもとよりのこと、ホテルの借り上げや旧海部病院を活用した療養体制の確保、特に経営が苦しい飲食店に最大限五十万円を給付する「新しい生活様式」実装推進応援金、また県民の皆様方による県内観光需要を切れ目なく喚起する「もっと!とくしま応援割」など、医療提供体制の強化、さらに大胆に踏み込んだ緊急経済・雇用対策を強力に展開いたしているところであります。 また、全国知事会からの提言により実現した二つの交付金はじめ、有利な財源を最大限に活用した結果、現時点では、安定的な財政運営の基盤である財政調整的基金は、東京都をはじめ多くの都道府県がコロナ対策で大幅に減少させる中、現在高八百億円程度、約十三億円の取崩しにとどまっているところであり、引き続き、喫緊の財政課題と健全財政の両立を図る持続的な財政運営に創意工夫を凝らしてまいります。 一方で、新型コロナウイルスの影響により、昨年の有効求人倍率が、第一次オイルショック後の一九七五年以来四十五年ぶりの急落、△〇・四二となったところでありますし、コロナ関連の経営破綻が千件を超えるなど、全国における経済・雇用への影響が大変深刻化する中、国におきましては、国民生活と企業活動を下支えするため、今年度、三度にわたる補正予算により、歳出総額は当初予算の何と一・七倍となる過去最大の百七十五兆円を措置し、その財源として百十二兆円もの国債を発行するなど、大幅な財政出動を行っており、これまでになく厳しい財政運営を強いられているところであります。 しかしながら、感染対策の急所とされた飲食業や、Go To トラベル停止によります大きな損失を被った観光業、それに関連する運輸業や農林水産業など、地域経済に大変深刻な影響が及んでいるところであり、まずは業と雇用を何としても守り抜くことを最優先とし、アフターコロナを見据えた新しい生活様式を社会にしっかりと定着させ、十四世紀のペスト以来と言われるパンデミックから一日も早く脱却できるかどうかに、まさに日本の命運がかかっているところであります。 今後とも、ピンチをチャンスに、課題解決先進県として、徳島発の政策提言により、本四高速全国共通料金化や光ブロードバンド環境を駆使したサテライトオフィスの誘致など、日本の標準、ジャパンスタンダードをつくり続けてきた経験を生かし、全国知事会長とし、四十七都道府県知事の英知を結集させ、国と心を一つに、新たな国難新型コロナウイルス感染症を克服するとともに、大変困難な道のりではありますが、国家財政の健全化を実現し、県民をはじめ国民の皆様方が明るい未来を描き、安心と希望を持って暮らしていけるよう、全力を傾注してまいる所存であります。   (長池議員登壇) ◆十八番(長池文武君) 御答弁いただきました。皆さん、御理解いただけましたでしょうかね。 私は聞いておりまして、国の財政運営は厳しいというイメージを、イメージというか、そうおっしゃったように思います。百十二兆円の国債とか、すごい数字も出てきましたが、ただ、厳しいからといってこれを出し渋ってしまったりすると、皆さんのお仕事とか業というんですかね、雇用がなくなる。幾らコロナ感染を抑えても、じゃあ元気に活動できるようになって、仕事も何もないというんではいけないということで、そういった両輪の財政出動は致し方がない、これは多分皆さんもお感じになると思います。一日も早く、パンデミックというんですか、それを脱却して、まずは日本のそれに命運がかかっておるという御答弁でございました。 一方、県においては、国の対策にすぐに即応しながらも、足りない部分といいますか、もっと欲しい場合は国へ要望を上げてきて、追加の対策を実現してこられたということでございます。現時点での財政調整基金、家庭でいうと何でしょうかね、貯蓄みたいなもんでしょうかね、これも八百億円程度あると。そのうち十三億円程度しか切り崩していないと。これはすごいことなんですね、本当に。ほかの都道府県、割と切り崩して、将来不安が実は高まっている県もあるんですが、今、健全な財政運営に本当に工夫されているということでございます。 一言で言うと、国は大変厳しいけれども、県は今のところはそんな、御安心をということでしょうかね。 私は、知事が全国知事会の会長でよかったなあと思っております。御本人、知事は本当に大変だと思います。こんなときに全国の会長もせないかんわけですから大変なんですけれども、大都市圏の知事さんが全国の会長だったら、やっぱり我々地方の声が届きにくかったんではないかなあと思うわけです。そうなったときに、やっぱり地方は、徳島もそうですが、さっき言った基金を大幅に取り崩したり、もしかしたら対策そのものが手薄になっていたかと思います。そういう意味で、知事が会長でよかったなというふうに、私は皆にも伝えようと思っております。 ただ、実際にはやっぱり、県の税収というんですか、かなり減少しております。これは予想としては、今年度だけじゃなくて複数年、回復するにはかかるだろうと言われておりますし、また、南海トラフの巨大地震とか気象災害に備えなくてはならないというのはこれまでと同じで何ら変わることがないということで、もう一つ言うなれば、今後、新ホール建設というふうな大型の事業も待っておりまして、しっかりと緊張感を持って財政運営に取り組んでいかなくてはならないと私は思います。 新ホールの件は、もうここでは議論しませんが、委員会のほうでしっかりやっていきたいと思うんです。できるだけ、そういう厳しいというのを前提とした新ホールの事業を進めていってほしいなあという思いであります。 そんな県民の不安や疑問は、今日知事がおっしゃっていただいたメッセージで、少しは、ああそうか、和らいだのかなあというふうに思います。今後も、県民目線の知事のメッセージだったり行動をぜひとも期待したいというふうに思います。 続きまして、コロナ対策について質問していきたいと思います。 エッセンシャルワーカーという言葉がございます。エッセンシャルワーカーというのは、人々が日常生活を送るために欠かせない仕事を担っている人のことです。 新型コロナウイルス感染症の拡大で、世界中で外出自粛やロックダウンが起こったんですが、そうした緊急事態下においても簡単にストップするわけにはいかない仕事に従事している人々に対して感謝や敬意の念を込めた呼び方ということで、エッセンシャルワーカーというふうな呼び方があります。主に医療・福祉であったり、農業や小売、販売、通信、公共交通機関など、社会生活を支えている仕事をしている人ですね。特にコロナ禍においては、医療や介護関係の従事者の方々に本当に大きな重圧がかかっていることは、もう皆さんも周知のことであります。 大都市圏では、今でも緊急事態宣言が発令中でありまして、コロナ感染者の増大、特に重症者の数の拡大が医療を逼迫しておりまして、医療崩壊寸前、もしくは、もうしているというふうに言われております。また、新型コロナは、特に高齢者に対して生命の危機といいますかね、危険度の高いウイルスであるようでございまして、医療現場同様、介護福祉施設等の現場でも大きな大きな負担がかかっております。 徳島県においても、医療機関や高齢者施設のクラスターが発生いたしまして、その都度、感染対策強化を求められてきたわけでございますが、一方で、長期にわたってのしかかっている労働負荷によって、従事者の方々の心身にも不調を来しているというふうな声も聞かれております。何かしら、彼らの負荷を少しでも軽減できないか、そんな思いで、今回は、医療・介護従事者の検査体制の強化について質問したいと思います。 現在、PCR検査に代表されるようなコロナ感染検査を公費で受けることができるのは、発熱であったり味覚障害であったり、何らかの症状が出るか、もしくは、身近で感染者が出た濃厚接触者、それに準ずるような関係しとう人が、公費で受けられます。例外もあるみたいなんですが、無症状で濃厚接触者でない場合は、公費で検査はできんのですね、我々ね。自分が無症状で、もしかしたら感染しとうかもって感じる人や、家族や周囲の人の安全を確認したいという人などは、自費で検査するしかございません。いろんな検査方法がありますから、高いんも安いんもありますが、自費でございます。 この条件が、実は医療や介護の従事者の方も同じなんですね。同じなんです。高齢者や基礎疾患を持つ方に感染した場合は命に直結するリスクが高い、そんな現場で働く方々は、絶対に感染してはいけない、絶対に感染してはいけないというプレッシャーの中で、ずっとこの一年間、仕事をしてきておるわけです。にもかかわらず、検査の基本的な考えは我々と同じで、具合が悪うならな診てくれんということでございます。 ちょっとおかしいなと思いました。何かできんのかなと思いまして、そういう方々に対して公費で定期的に検査できんかなあという趣旨でございます。 これまでも、この議論は度々ありました。文教厚生委員会とか、会派内でも議論しましたけれども、問題は二つあるんです。 一つは、検査の有効性ですね。一回検査しました、定期的にばっとやりました、でも次の日に感染しとったら分からんでないかという、意味ないだろという話であります。そもそも検査自体の信憑性というのも不安視されておる中、偽陰性があったりするし、ほんなんやったって意味ないでないかという議論がありました。 もう一つは、費用の面です。徳島県内で、医療とか介護の従事者の方が大体五万人おるそうでございます。一回のPCR検査が二万円だとすると、五万人掛ける二万円ですから、十億円かかるんです。定期的に十回やったら百億円かかりますよというお話なんですね。本当におっしゃるとおりなんですが、でもそんなしんどいところの人が一般の人と同じというのも何かおかしいなあというふうに思います。 本当に去年の出始めの頃なんかは、医療従事者のお子さんは保育で預かってくれないとかという話もあったんですね、うつるかもしれんということで。もちろん、感染を恐れて、そういう人々はほとんどの方、Go To トラベルやGo To イートは利用していません。出れんのんですから。絶対かかったらあかんと言われていますから。 で、少々ちょっとだるいなとか思っても、あまり気軽に休めんのんですね。現場が逼迫しておりますし、具合が悪いや言いにくいんですよ、現場で。冗談でも、コロナちゃうんということは言えんのんです。ほんまにプレッシャーの中で日々過ごしてこられて、それが一年にわたっておるということでございます。 ですんで、そういった皆さんのために、ちょっとでも安全を確保して、不安を払拭することにちょっとでもつながるんであれば、公費で定期検査を実施するのも私は必要なんではないかなあというふうに思います。 先日、我が会派と、護民官の扶川議員と一緒に、今述べたような内容をまとめて申入れを飯泉知事にいたしました。全国知事会長宛てに、できたら国に要望を上げてほしいというふうな趣旨で申入れをしました。その申入れ後も、県内で大きなクラスターが発生しましたよね。やっぱり何かできないかなあという思いが募っております。 それで、改めて、では質問します。 新型コロナ感染症対策の課題が数ある中で、医療機関及び高齢者施設における対策の強化について、具体的には、従事者の公費による定期的な検査体制を整えるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。   (仁井谷保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(仁井谷興史君) 医療機関や高齢者施設の従事者への定期的な検査について御質問をいただいております。 全国的に医療機関や高齢者施設でクラスターが発生している状況を受け、これらの施設等で積極的な検査を行うことは大変重要であります。 国からも、昨年の九月から今年の二月まで八度にわたりまして事務連絡が発出されており、その中では、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、感染者が一人も発生していない施設などであっても、その期間、医療機関や高齢者施設などに勤務する者、入院・入所者全員を対象に、言わば一斉的、定期的な検査の実施を行うよう示されているところであります。また、高齢者施設などについては特に、入所者または介護従事者などで発熱などの症状を呈する者については必ず検査を実施すること、一人でも陽性が判明した際には、入所者及び従事者の全員に対し原則として検査を実施することも示されております。 本県におきましても、これらの事務連絡に従い、先月及び今月、クラスターが発生しました高齢者施設及び医療機関に対し、まず速やかな立入調査、そして当該施設などにおける全ての入所者、入院患者及び従事者に対する迅速な検査の実施、そして現地指揮所の設置と感染防止対策の専門家による徹底した対策指導を行ったことに加えまして、クラスターが発生した地域--すなわち徳島市の八万地区及び藍住町でございますが、これらにつきましては、感染拡大防止のため検査の範囲を拡大し、地域内の施設や医療機関全ての入所者及び従事者に対して、無症状者も含め、一斉検査を公費で実施しているところでありまして、早期の感染封じ込めを図っております。 一方、こうした一斉検査を、感染者が発生していない地域を含む全県下に広げること、また感染拡大が見られない時期にも定期的に行うことにつきましては、議員お話しのとおり、検査の特性上、検体採取時点での陰性を確認することしかできず、その確認を徹底しようとすれば頻回に何度も検査が必要となること、また、介護の従事者だけで約二万人、医療従事者だけで約三万人と、対象の人数が膨大であり、多額の費用もかかることなど、様々な課題が存在しております。 こうしたことから、本県におきましては、現在行っている感染拡大の兆候を早期に捉え、対象となるエリアや施設などの種別に対して一斉検査を実施することが、現時点では最善の手法と考えており、これをさらに広げることの有用性については、さらなる検証を国に求めるとともに、クラスターの発生時などには総力をもって早期の封じ込めを図ってまいります。   (長池議員登壇) ◆十八番(長池文武君) 御答弁いただきました。 現時点での国の方針としましては、感染が多数発生している地域において、医療や介護、そういうところには一斉検査ができるということで、県もこれまでクラスターが発生するたびに実施してきたそうであります。その成果も実際しっかりあって、封じ込めに一定の効果が得られており、私は、それに対しては、御尽力いただいている関係各所の皆様に敬意と感謝を申し上げたいと思います。 ただ一方で、感染が確認されていない時期とか地域においても、先ほどから申し上げている現場、リスクが偏在しているような現場では、常に過度の重圧がのしかかっているんです。プレッシャーがかかっておるんです。これが一年に及んでいるんですね、一年。いや、結構本当にしんどいと思います。一週間や十日とちゃうんです。一年です。 ですんで、一斉検査、定期検査に感染抑制の効果がどれほど望めるかは分かりませんけれども、せめて定期的な安全の証明ですね。だから、かかっとう証明じゃなくて、かかってない証明を、安全の証明とそういった不安の解消を公費で行うことをしてもいいんではないかなあという思いで質問いたしました。 今後も引き続き、医療や福祉従事者が安全で健康に安心して仕事が続けられますよう、感染防止対策の向上に努めていただきたく、お願い申し上げておきます。 続いての質問に移ります。 先日の二月十三日の夜、東北地方、福島県沖を震源とします最大震度六強の大きな地震が発生いたしました。幸い、津波による影響というのがありませんで、今のところ死者は出ていないということで、家屋や道路、新幹線とかも多く被害が出ておるということが明らかになっております。 十年前のあの東日本の巨大地震の余震というふうにされておりますが、これまでも余震のたびに当時の恐怖とか悲しみが呼び起こされて、今もなお多くの方が苦しんでいらっしゃるというお話をお聞きしました。本当に残酷であります。心からのお見舞いを申し上げまして、早期の復旧を願うばかりであります。 今も申しましたが、来月の三月十一日で、東日本大震災が発災してちょうど十年となります。私の初当選もその年の四月でございましたが、地震の第一報を受けたときは、何が起こっているのか全然状況が分からんで、その後、テレビで映し出される被災地の映像を見て愕然となったのを覚えております。 皆さんもそれぞれ記憶がまだ鮮明に残っていらっしゃると思いますが、あれからはや十年が経過したわけであります。南海トラフ巨大地震を迎え撃たなくてはならない我が県では、この十年間、様々な地震・津波対策を講じてきておりまして、着実に防災力はアップしておりますが、まだまだ道半ばであります。 また、その後、全国では、二〇一六年の熊本地震、二〇一八年の北海道の東部地震、多くの犠牲者を出した地震災害が多発しましたし、これまで、想定を超えたスーパー台風や線状降水帯による豪雨災害が毎年大きな被害を出しております。今では、地震・津波対策と同様以上の豪雨災害対策、それが急務になっているような感じもいたします。 そして、昨年の新型コロナの発生です。世界規模のパンデミックが今も進行形であります。 この十年間の危機管理は、本当に厳しい状況が続いてきたと思います。そして、その先頭に立ってこられたのが飯泉知事であります。想定を超えるような気象事象が繰り返される中、本当に御苦労があったと思います。 知事、防災はやってもやっても切りがないといいますか、百点という防災はなかなかございませんね。次から次へと変わるわけですから。ですので、今の徳島県の防災について点数をつけることは難しいと思います。ですが、この十年を振り返って、知事御自身の評価といいますかね、反省といいますか、自己採点はできるんちゃうかなというふうに思いまして、一度、十年を振り返って総括してみてはというふうな思いであります。 そこで、お伺いいたします。 今年は、東日本大震災後、十年を迎える節目の年であります。この十年間を振り返り、徳島における防災について、知事御自身の自己採点は何点でありましょうか。理由も併せてお答えください。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 東日本大震災後、十年を振り返り、本県の防災対策の自己採点について御質問をいただいております。 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から、間もなく十年を迎えることとなります。そのさなか、十三日午後十一時八分、福島沖を震源とするマグニチュード七・三、福島、宮城両県におきましては震度六強の地震が発生し、現在も余震が続くなど、このたび被災された皆様方、そしてさきの大震災で今なお復興に御尽力されている皆様方に、心からお見舞いを申し上げるところであります。 さて、本県におきましては、大震災の教訓を踏まえ、想定外を繰り返さないとの強い気概の下、南海トラフ巨大地震はもとより、中央構造線活断層地震をはじめ直下型地震も見据え、発災時の死者ゼロを目指すとくしま-0(ゼロ)作戦を積極的に展開いたしてまいりました。 具体的に少し申し上げてまいりますと、この東日本大震災のときには、発災から十日後となります平成二十三年三月二十日、宮城県庁へ村井知事を訪ねまして、関西広域連合、徳島県は宮城県のカウンターパートとして、支援体制の協議を行うとともに、宮城県下の壊滅的な被災状況をつぶさに視察させていただいたところであります。 そして、一か月後の四月には、新たに、従来の防災に減災の視点を加えた地震津波減災対策検討委員会、こちらを立ち上げさせていただきまして、被災地支援から得た知見を踏まえ、災害対策の抜本的な見直しを行ったところであります。 また、県民の皆様方の御理解もいただきながら、全国初となる津波浸水想定の公表、自助、共助、公助の役割を明確にした震災に強い社会づくり条例の制定、津波災害警戒区域イエローゾーンや中央構造線活断層地震に備えるための特定活断層調査区域の指定によります土地利用の適正化など、全国に例を見ない防災・減災対策をスピード感を持って推進してきたところであります。 さらに、全国トップを切って策定した徳島県国土強靱化地域計画や、被災前から復興に備える準備と実践につなげる事前復興の推進などの取組は、まさに全国のモデルとなるとともに、現在に至る防災・減災対策の基盤となっているところであります。 こうした県の取組に呼応し、県内の市町村の皆様方におかれましても、県の補助金の積極的な活用によります避難路や緊急避難場所の整備、地震・津波ハザードマップの作成、市町村津波避難計画の策定など、ハード、ソフト両面から、助かる命を助ける具体的な対策を進めていただいているところであります。 一方、切迫する南海トラフ巨大地震に加え、近年、気候危機とも言われる気候変動により頻発化、激甚化する豪雨災害や、新型コロナウイルス感染症の蔓延という新たな脅威にさらされる中、住民の皆様方の迅速な避難行動につなげる的確な防災・気象情報の伝達、避難所における感染症対策など、スピード感を持って取り組んでいるところであり、今後さらに、これまでの常識が通用しない複合災害の備えへ万全を期してまいります。 なお、自己採点のお話についてでありますが、これまでの知見あるいは常識が全く通用しない新たな課題がめじろ押しとなる昨今の防災・減災対策に、徳島県知事として、そして全国知事会長として、まさに真正面から取り組んでまいる真っ最中でありますので、県民の皆様方から及第点をいただけるよう、機会あるごとに一点でも二点でも上積みができますように全力を傾注してまいる所存でありますので、議員各位におかれましても大所高所から御指導賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。   (長池議員登壇) ◆十八番(長池文武君) 御答弁いただきました。点数は言うていただけんかったということで。 いや、知事ね、まず自己採点しろという失礼な質問して、すんませんでした。いや、ほら言えませんよ、採点や言われても。私も、ほら分かっとんです。なかなか言えん。でも、もし言うてくれたら、ほれはほれで、また知事の見方も変わってくるんかなあとかというふうな思いもありましてね。でも今、真っ最中やし、及第点がもらえるように一点でも積み上げていきたいというふうな、すばらしい、うまいこと言うたなあというふうに思います。 失礼ついでに言いますと、私も知事を採点しました。さきに述べましたように、東日本大震災の後、本当に数々の自然災害が全国で発生しましたし、その都度、危機管理のトップとして対応してきた知事の心労というのは私はかなりのものだったと思うんですが、それにもかかわらず常に平静なお顔で十年間やってこられたという強靱さというのは、本当に私は敬服に値するというふうに思っております。 といって、百点つけるわけにもいきませんので、まだまだこれからの知事のそういった活躍といいますか、活躍っちゅうんちゃうね、防災ですから。その余力があると期待して、八十点といたしましたんで、頑張っていただけたらと思います。 私が防災において最も影響を受けた方がいらっしゃいます。それは、現在、東京大学教授の片田敏孝先生であります。 昨年十一月、私の母校であります小松島中学校にて、中学校の生徒に向けた片田先生の防災の講演会が開催されまして、私も保護者の一人として聴講する機会に恵まれました。その中で、今のコロナ禍における対応と自然災害における対応の共通のことがあるということで、片田先生が生徒たちに話しておりましたので、ここで紹介させてください。(資料提示) 見えますでしょうかね。共通のことがあると片田先生がおっしゃって、口頭で子供たちに説明しておられました。一つは、自らの命は自らで守るしかない。二番目、自らの安全は周りの安全につながる。分かりますね。三番目、専門家にも行政にも完全に頼ることはできない。ちょっと三番目、衝撃的でございますが、一見すると、全ては自己責任ですよと行政が市民を突き放したようにも取れる言葉でありますが、実はこれからの防災においての基本となっている考え方なんです、これは。 実際、国のほうは、これまでの防災の方針を大きく転換しました。で、新たな指針を発表しています。 平成三十年十二月、国の中央防災会議のワーキンググループが発表しました「平成三十年七月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難のあり方」というレポートがあるんですね。その報告書によりますと、こう書いてあります。目指す社会として、住民が自らの命は自らが守る意識を持って、自らの判断で避難行動を取り、行政はそれを全力で支援する--支援です--という、住民主体の取組強化による防災意識の高い社会を構築する必要があるというふうにしております。 こうも書かれております。行政は万能ではありません。皆さんの命を行政に委ねないでください。 ちょっと補足しますと、国は、自らの命は自らが守るという、地域住民の自主的な防災力を高める、一方では、避難弱者、要配慮者というんですかね、避難弱者の方々の対策をもっともっと強化していく、重要視していくということでございます。ですんで、自分で命を守れない方は諦めてくださいと言ようわけではございませんので、誤解しないようにしていただきたいと思います。自らの命は自らが守るということであります。 ともあれ、多くの子供たちの命が救われました十年前の釜石の奇跡も、覚えていらっしゃる方はいると思います。釜石の奇跡の立て役者であって、今現在、日本の防災の中心にいらっしゃる片田先生が、小松島の子供たちに直接、防災であったりコロナに対する心構えを吹き込んでくれた瞬間でありまして、私は非常に感動いたしましたので、紹介させてもらいました。 この一年間は、新型コロナの影響で、感染症対策を盛り込んだ避難所の在り方が問われています。また、避難所だけにこだわらず、車中避難であったり在宅避難といった分散避難も有効であることから、これまでの避難体制も大きく変わろうとしております。 今後も知事のリーダーシップに期待いたしまして、私も自己反省して、防災力向上に努めてまいりたいというふうに思っております。 次の質問に移ります。 次に、子ども食堂についてお伺いいたします。 このテーマでは、私、この場で四年連続でございます。四年目、四回目。昨年、子ども食堂の全国データが出てまいりましたんで、これも紹介します。(資料提示) 直近です。去年の年末、二〇二〇年十二月ですね。これは、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえさんというところがありまして、そこが調査していただきました。直近で、全国では四千九百六十か所まで増えたそうであります。ぐっと増えました。 二〇二〇年二月、ちょうど一年前からも、コロナ禍であったんですが、全国で百八十六か所増えたそうです。コロナ禍であっても増えたそうでございまして、一方、ここには記していませんが、徳島県は現在、県内に二十三か所ございます。全国で、箇所数でいいますと四十五位でございますね。ワーストスリーということでございます。 おととしの二〇一九年六月では、十七か所だったんですね。ですんで、十七か所から二十三か所ですから、六か所増えていますが、ほかの他県もかなりの勢いで伸びていますんで、徳島が急に増えたというわけではございません。 徳島で何で増えんのかなあと理由を考えるんですが、貧困の、食事ができんほどの子供が徳島は少ないんちゃうんでっていう声も聞きます。だから徳島は少ないんちゃうんでって。だけど、どうもそんなふうに、ほうかなっていうふうに腑に落ちんのですね。 そもそも、子供たちの困難というのは貧困だけじゃないんですね。学校のいじめであったり家庭内のDVだったり、子供たちの抱えている問題というのは様々でありまして、そういう子が身近にいるんちゃうかな、そういう子に対して何か自分たちもできるんかなっていう、大人たちの気持ちの表れが子ども食堂なんです。だから、貧困の子供が多いとか少ないが子ども食堂の数じゃなくて、そういう子供を案ずる大人たちの気持ちの形が子ども食堂になって表れておるんです。 実際に、子ども食堂をやりたいっちゅう声を聞くんですが、どうやったらできる、どうやったら子ども食堂がつくれるのかっていうふうに悩んでいる方もいらっしゃいます。何かできることないかなあというふうに思いつつも行動に移せていないのが現状で、実はそういった部分がうまくいっていない、徳島で数が少ない理由の一つであります。 もう一つあります。もう一つは、保健所の規制があるんですね。例えば、近くの公民館で月に一回子ども食堂をやろうというふうに仲間で話して、大人たちがしようとしますよね。で、食品を扱うんで、保健所に相談へ行きます。そしたら、安全講習も受けてください、衛生管理者ですか、そういうのも置いてください。で、一生懸命置いて、申請するわけですね。申請したら、一万数千円ぐらいの申請料っちゅうんが要るんですね。 で、まあしゃあないかっちゅうて払って、来月やろうとすると、もう一回同じことしてくださいと言われるんですね、月に一回やろうとすると。いや、実際そうなんですよ。もう一回やろうとしたら、また一万円ぐらいかかって、書類を書いて出さなあかんのですね。 さっきも言うたように、子供の困難をちょっとでも何か救いたいって思っとう人が、月に一回でもええけんやろうってことで、公民館でやろうとしても、毎月何か煩雑な書類を出して、お金も取られて、同じ場所で同じことやんりょんのに何よっていう声が聞こえてくるんですね。どうにかならんのですかってことです。 ほかの県は、福祉目的でボランティア活動というのに対して、割とそういうことに対してちょっと特例といいますかね、扱いをしています。そういうところは、ぐんとそういう子ども食堂が増えておるわけですね。ですんで、そういう子ども食堂という考え自体、新しい市民運動でございますけれども、そういう新しいものに対して古い規制がかなり邪魔しておるわけでございます。 子ども食堂の定義というのは、子供が一人で安心して来られる無料または低額の食堂であります。決して特別な子供たちのために特別な人たちがやっていることではなくて、子供たちの安心の拠点として、どの町にも備わっていくことが理想であります。 そこで、お伺いいたします。 子ども食堂の活動を県下で広めて、持続可能なものとするためには、県は今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。   (上田未来創生文化部長登壇) ◎未来創生文化部長(上田輝明君) 子ども食堂の活動を持続可能なものとするための取組について御質問いただいております。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、地域における活動が制限され、人と人とのつながりの機会が減少する中、こんなときだからこそ、子ども食堂は、おなかを満たすだけでなく、影響を受けやすい子供たちの見守りの場であり、地域の大人たちとの交流の場として、まさに心をも満たす重要な役割を担っているところであります。こうした民間主導による取組が広がりを見せ、継続的な活動としていくためには、地域で核となる人材の育成や支援体制の整備、周知啓発等、活動を後押しする仕組みづくりが必要であると認識しております。 そこで、県におきましては、子ども食堂関係者や活動に関心のある方などを対象に、子どもの未来応援コーディネーター養成研修を行い、活動団体の核となり調整役を担えるコーディネーターとして、これまで百人以上の人材を養成してまいりました。また、県社会福祉協議会におきまして相談窓口の開設、寄附金を財源とした開設運営経費の助成基金の設置、地域の理解を深める巡回パネル展の開催などの連携事業を展開し、民間活動の後押しを積極的に推進してきたところでございます。 この結果、県において把握している子ども食堂は、昨年度末時点で十市町十九か所だったものが、先ほど議員からも御紹介いただいた時点から、その時点では二十三か所で、その後さらに増加を続けまして、現在、十二市町におきまして二十九か所と、コロナ禍においても全国合計を超える増加率で着実な広がりを見せ、学習支援や体験活動などを含めたいわゆる子供の居場所全体では四十三か所となり、子供を真ん中に置いた地域の多世代交流拠点として浸透しつつあります。 今後は、議員お話しのとおり、福祉的役割を果たす子ども食堂が過度な負担なく食事を提供できるよう、営業許可対象外とする要件として、食事提供対象の範囲が限定されていること、実費以外の対価徴収がないこと、これに福祉目的事業であることを追加し、その明確化について早急に研究するとともに、食品衛生講習会の開催と受講の推進により、安全な食事提供を図ってまいります。 さらには、子ども食堂をはじめとする子供の居場所が、必要としている子やその保護者、あるいは応援したいと思う方々の身近なものとなるよう、専用応援サイトを充実し、分かりやすい情報発信に努めるとともに、令和三年度には、子供の居場所の立ち上げから運営までのポイントを整理したマニュアルの作成を目指し、アフターコロナを見据えた民間主導の取組を加速してまいります。 今後とも、子供たちを温かく見守り、社会全体で支える持続可能な体制を構築し、次代を担う子供たちが社会から孤立することなく、夢と希望を持って成長できるよう、しっかりと取り組んでまいります。   (長池議員登壇) ◆十八番(長池文武君) 御答弁いただきました。 時間が大分ないということで、言いたいことをいろいろ用意しとったんですが、カットしまして、ちょっと一つ確認といいますか、大きなこと、保健所の件ですが、御答弁の中で、福祉目的の子ども食堂に対して、ずっと、営業許可証みたいな何かそういう枠で入れんようにしとったんですが、それを外すようなことをこれから検討していくということで、これはかなり、多分関係者は悩んだ方がいらっしゃると思いますんで、ぜひそういった前向きな検討を早急に進めていただければと思います。 一個だけ言わせてください。貧困や孤独、そんないろんな困難を抱える子供たちにとっては、コロナよりも、安心できる場所を失うことのほうが怖いんです。ですんで、子ども食堂だけじゃないんですが、いろいろな子供のそういった安心できる場所が、コロナ禍であっても徳島の中で広がりを見せていただけますよう、ぜひ今後もよろしくお願いしたいと思います。 最後の質問でございます。LGBTについてです。 LGBT、最近ではLGBTQとかLGBT+とかそういう、それぞれ深い意味があるんですが、今日の質問中の用語としてはLGBTという言葉で統一させていただきます。御容赦ください。 この問題についても、私は五年前と去年の二月に続いて三回目であります。昨年の質問では、夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催を前にして、世界のスポーツ界におけるLGBT、性的マイノリティーに対する歴史と認識を紹介して、特に今回の東京オリンピック・パラリンピックは世界から注目されているんですよというふうに申し上げたんですが、残念ながら一年延期になりましたね。コロナで延期になって、本当に今も開催が危ぶまれておる最中でございます。 そんな中、大会関係者のトップであります組織委員会の森会長による女性差別発言がありまして、辞任されたということで、本当に大きな衝撃でありました。 問題となった、女性がいると会議が長くなるとの発言は、大きく世界に報道されまして、オリンピック精神に反するとして社会問題となって辞任へと追い込まれたわけでございますが、私、その発言はいかんなあというふうには思うんですけれども、もっと衝撃を受けたのが、後日の発言撤回謝罪会見ですね。いわゆる逆ギレ会見という一幕で、記者の方が大会における多様性を質問されたときに、森さんは、女性と男性しかいないですから、もちろん両性っちゅうのもありますけどねというふうに言われた場面でした。 聞いていて天を仰ぎましたね、私は。幾ら何でもひど過ぎますよ、両性って。これはいかんと思ったんですが、想像したとおり、大変な差別発言ということで、国内外で波紋を広げることになりました。本人が差別する気がなくても、無意識であっても、無知であったり非常識である言葉は人を傷つけ、差別することにつながるわけでございまして、ましてや性的指向や性自認への差別を禁止しているオリンピックのトップとなると、もはや世界規模の問題となってしまったわけであります。 この場で言葉狩りをしたいわけではありませんので、発言についてはもうこれ以上申しませんが、おかげといいますか、オリンピック・パラリンピックにおける多様性を認め合う精神が改めて今確認されているきっかけとなったわけであります。今は、コロナの影響で、開催できるかできないかに世間の注目がどうしても集まっておりますが、これを機に、性の多様性について国民全体が再認識し、アップグレードすべきだと思います。 LGBTに対する正しい知識、認識を持ち、多様性を認め合うことは、県の推奨するダイバーシティ社会の構築に必要不可欠であります。県もこれまで、学校の授業や人権啓発イベントなど様々な場面でLGBTを扱ってくれてはおりますが、まだまだ限定的で、浸透しているとは言えません。 そこで、お伺いいたします。 LGBTをはじめとする性的マイノリティーに関し、県民に向けた具体的な行動を行うべきではないかというふうに思いますが、御所見をお願いいたします。   (上田未来創生文化部長登壇) ◎未来創生文化部長(上田輝明君) 性的マイノリティーに関する具体的な行動について御質問をいただいております。 私たちの中には、体の性と心の性が一致しない方、恋愛の対象が同性や男女両方に向いている方などがおられ、周囲の人の無理解や偏見から、様々な困難や深刻な人権問題が生じる場合があると認識しております。 県では、性の多様性について、県民の皆様の理解を深め、偏見や差別をなくすため、県職員や市町村担当職員など行政職員への研修、県民向けの講座や人権啓発イベントとくしま共に生きるフェスタにおける講演会、民間団体と連携した徳島カラーフリー文化祭等の実施により、積極的に啓発を行っているところであります。こうしたイベントに参加された方からは、少しでも多くの人に理解者となってもらいたい、また、自分の周囲にリアルに存在することとして受け止められた等の声をいただいており、性の多様性に関する意識の共有や理解が着実に進みつつあると考えております。 また、県では、性的指向、性自認はもとより、年齢や性別、障がいの有無等にかかわらず、一人一人が尊重され、多様な個性が受容されるダイバーシティ社会の実現に向け、県民の皆様に理念や方向性をお示しするダイバーシティとくしま推進方針について、今年度中の策定を目指して取組を進めているところであります。 さらに、御自身の性別に違和感を持つ方の中には、各種書類に性別記載欄があった場合、記載の仕方について悩んだり、男性、女性の選択肢のみから選択することに抵抗感を持つなど、精神的苦痛を感じる方もおられます。そこで、県といたしましては、県の申請書や証明書等において、不必要な性別記載欄の廃止を含む様式の見直しを行うことにより、性的マイノリティーの方々に配慮するとともに、広く県民の皆様方に対し、多様な性への偏見や差別をなくす契機としてまいります。 今後とも、国や市町村、関係団体等と連携し、多様な個性に寄り添った取組を進めることにより、全ての人々の人権が尊重される社会、そして誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティ社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。   (長池議員登壇) ◆十八番(長池文武君) 御答弁いただきました。県の申請書や証明書において、不必要なんですよ、全部っちゅうわけではございません、不必要な書類に関しては性別記載欄を廃止するということであります。 お聞きになって違和感を覚える、感じる方もいらっしゃるかと思います。何でほれがいかんのえ、みたいな。でも、これ実は既にもう先進的に進めている都道府県も結構あるんですよ、実際。東京都なんかでは、オリンピック・パラリンピックの開催都市ですから、早うからそういうのをできるだけなくして、より配慮したような制度がありますんで、企業も同じでございますんで、県もその潮流に倣って今回の動きというふうになったわけでございます。ぜひ速やかに実行していただけたらと思います。 LGBTについて、要望事項がございます。パートナーシップ制度についてであります。 パートナーシップ制度とは、地方自治体が、戸籍上同性であるカップルに対して、二人のパートナーシップが婚姻と同等であると承認して、自治体独自の証明書を発行するんですね。公営住宅の入居ができたり、特に病院とかで家族として扱ってもらえたりということで、一定の効力を期待できるようになる制度であります。これは、法的には拘束力はまだございません。 実は、昨年は徳島県において、とても大きな年だったんです。それは、昨年の四月から徳島市において、パートナーシップ宣誓制度が開始されたんですね。県内初の認定カップルが昨年生まれております。現在、たしか五組だったと思いますが、続いて吉野川市も今年の一月から同様のパートナーシップ宣誓制度がスタートしまして、鳴門市でも、報道によりますと今年の秋からスタートさせようということでございます。まだ県内各自治体において同様の制度の導入の検討が見られておりまして、今年は大分加速するんではないかなあと思います。 一方、県では、以前からそういった制度導入に対しては慎重な姿勢であります。全国知事会会長県の徳島が、先駆的なそういった取組をしていただけたら、全国にばっと広がるんじゃないかなあと思って訴えておるわけでございますが、逆にそれがネックになっておるのかもしれません。 知事、今後、徳島県内でそういった制度導入が広がった際に、例えば人口の割合で半分とは言いませんけど、七割ぐらいの人口割合の自治体がそういう制度導入が入ったときには、ぜひ県のほうとしてもそういう土壌ができたということで導入をしていってもらえんかなあと思います。ぜひ要望として、今後そういった検討と準備をお願いしたいと思います。 LGBTの当事者の方々は、そういった運動をしている方は特に、自分のためにそういうことを訴えているんじゃない、そう全ての方はおっしゃいます。じゃあ誰かといいますと、やっぱり次の世代の子供たちが自分と同じような差別や偏見を受けてつらく苦しい思いをしてほしくないという思いで、今そういうことをやっておりまして、私もそれに共感して、今日この場に立っております。 あらゆる差別に共通しています。多様性を認め合い、弱者や少数者を置き去りにしない社会こそが、我々の目指すべき社会像であると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 以上で質問は全て終わりですが、あとちょっとだけお付き合いください。 日本ではなかなか政治における女性議員の割合が少ないことが課題となっておりまして、これは徳島県内でも同じであります。そこで、昨年末、超党派で、徳島県女性議員ネットワークというのができました。女性が抱える諸問題について理解を深めるための議員間の情報交換の場をつくろうということで、私はすばらしいことだなあと思っております。その代表に、我が県議会の副議長、岡田副議長が選任されたということで、おめでとうございます。いや、本当にすばらしいです。 そんな中、先ほど言いましたが、東京オリンピック・パラリンピックの森さんの発言がありました。本当に非常に残念であります。 我が会派は、男女半分半分で、年齢も幅が広うて、多様性に富んでおりまして、意見の相違はごっついあるんですが、それもお互い認め合い尊重し合うことで、今のところ持続可能な会派となっております。 そこでですが、来年といいますか新年度から、会長及び幹事長を吉田議員と東条議員に交代いたします。ええでしょう。議会の中で、会長・幹事長会とか議会運営委員会とかでも、やっぱり女性の割合といいますか、女性の発言の機会を増やすことは、我々の会派の目的にもかないますんで、多分、交渉会派の会長、幹事長が女性というのはあまり聞かなかったことかなあと思いますので、何でもやってみようと思っておりますんで、ぜひ皆様におかれまして御理解いただいて御協力賜りますことを、高いところからではございますが心よりお願い申し上げまして、私の代表質問全てを終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(岡田理絵君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後二時五十七分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後三時二十一分開議       出席議員計三十七名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     増  富  義  明 君     二  番     立  川  了  大 君     三  番     井  下  泰  憲 君     四  番     福  山  博  史 君     五  番     原     徹  臣 君     六  番     北  島  一  人 君     七  番     梶  原  一  哉 君     八  番     仁  木  啓  人 君     九  番     東  条  恭  子 君     十  番     浪  越  憲  一 君     十一 番     大  塚  明  廣 君     十二 番     山  西  国  朗 君     十三 番     岩  佐  義  弘 君     十四 番     須  見  一  仁 君     十五 番     井  川  龍  二 君     十六 番     古  川  広  志 君     十七 番     高  井  美  穂 君     十八 番     長  池  文  武 君     十九 番     吉  田  益  子 君     二十 番     岡     佑  樹 君     二十一番     元  木  章  生 君     二十二番     岡  田  理  絵 君     二十三番     南     恒  生 君     二十四番     岩  丸  正  史 君     二十五番     寺  井  正  邇 君     二十六番     黒  崎     章 君     二十七番     扶  川     敦 君     二十八番     達  田  良  子 君     二十九番     喜  多  宏  思 君     三十 番     重  清  佳  之 君     三十一番     嘉  見  博  之 君     三十二番     岡  本  富  治 君     三十三番     杉  本  直  樹 君     三十四番     西  沢  貴  朗 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     山  田     豊 君   ──────────────────────── ○議長(寺井正邇君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 三十五番・臼木春夫君。   (臼木議員登壇) ◆三十五番(臼木春夫君) 新風とくしまの臼木春夫です。 初めに、福島県沖を震源とする地震で被害に遭われた方々へお見舞いを申し上げますとともに、新型コロナウイルス感染症に感染され、亡くなられた皆様、そして今もなお闘病されていらっしゃる皆様方に対しましてお見舞いと、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。 また、現場の最前線で昼夜を問わず治療や検査に当たっておられる医療従事者や保健所、関係者の皆さんに対し、心より感謝と敬意を表しまして、会派を代表し、代表質問をさせていただきます。 今年は、コロナ禍での質問で、議員になって初めての傍聴者なしでの質問となりました。いつもは、もう私も今回、二十回目ぐらいになるんですが、百人近く来ていただいとったんですが、少し寂しい感を覚えます。 昨年の二月議会で私が代表質問に新型コロナウイルス感染症問題を取り上げてから一年となりましたが、収束どころか、拡大の一途をたどっており、本当に大打撃となっております。 それでは、身近な問題や疑問や要望を質問させていただきますので、関係各位の理事者の皆さんには簡潔明瞭な御答弁をいただきますようお願いを申し上げ、質問に入ります。 徳島県におけるワクチン接種について。 二〇二〇年から世界中を巻き込んで感染拡大を続けている新型コロナウイルス感染症は、言わば人類とウイルスの戦争であり、世界中では感染者が一億人を突破し、今や日本人口を上回る感染者数となる勢いとなっております。また、死者数も約二百五十万人、多くの犠牲者を出し、全世界の人々を不安の窮地に追い込んでおります。 新型コロナウイルス感染症については、都市部のみでなく地方においても感染拡大の事態となっており、二月十日には、県内では十例目に当たる病院のクラスター発生が伝えられたところです。 県においては、去る一月二十五日に新型コロナ感染症対策プロジェクトチームを設置し、保健所における初動対応や市町村の関係団体との連携による体制構築、医療提供体制の確保について、一段と加速して取り組まれると聞いております。また、コロナ感染者数拡大で国内の医療機関は逼迫した状況が伝えられていますが、徳島県においては、知事は、新型コロナウイルス感染症の今後の拡大に備え、いち早く旧県立海部病院に目をつけて改修工事をして、受入体制を整備されたことは、私は先見の明があったと大いに評価するところでございます。 WHO世界保健機関は、新型コロナウイルスのワクチン接種は新型コロナを克服する切り札として、世界の多くの人が免疫を持つことで感染が広がりにくくなる、いわゆる集団免疫の状態にすることが望ましいと、正確には分からないが、世界の人口の七〇%を超える人がワクチンを接種する必要があるとしております。 現時点で、国内で最初に使用されたのはファイザー製ワクチンでありますが、厚生労働省の承認を経て、本日十七日から、国内初となる新型コロナウイルスのワクチン接種が医療従事者を対象に開始されるとのことです。先月の一月に開設された総理大臣官邸のツイッターには、新型コロナウイルスのワクチン接種に関連する情報が投稿されていますが、コロナワクチンに関する情報は刻一刻と更新されており、私たちには分かりづらい面も非常にございます。 このファイザー社のワクチンは、マイナス七十五度の超低温で保管する必要があるということで、本県では二月十日に、三か所の基本型接種施設に超低温冷凍庫、ディープフリーザーが配置され、二月中には計十三台配備されると聞いておりますが、一日も早くワクチン接種ができるような体制整備が必要と考えます。 そこで、お伺いいたします。 県民の皆さんが待ち望んでいる新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、県としてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、アフターコロナを見据えた本県の産業振興についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済を停滞させ、観光事業者をはじめ、交通、飲食といった幅広い県内事業者にも大きな影響を及ぼしています。これまで、国が掲げた感染防止対策への取組によって、一時期、収束するかに見られたところ、残念ながら、大都市圏を中心に感染の再拡大によって、二度目の緊急事態宣言という事態に至っております。 感染の拡大と収束を繰り返し、先行き不透明な中、県内事業者は、何とか事業を継続していこうと懸命に踏ん張っているところであり、県からの無利子融資、融資連動型の給付金や、WITH・コロナ「新生活様式」導入応援助成金などが、事業者の大きな支えになっているところでございます。 このたびのコロナ禍では、特に都市部の脆弱性が露呈し、感染防止対策のために推奨されたテレワークの実施は、人々の行動変容を加速させました。例えば、報道にもあるとおり、大企業の本社ビルの相次ぐ売却や、これまで都会でなければ仕事がないという状況も、テレワークの活用により、その常識が大きく変容し、ある大手転職サイトの調査によると、七割の若者がUターン、Iターンや地方への転職を希望するというアンケート結果が出ております。 今後、本県経済が、コロナ禍、人口減少という大きな試練を乗り越えて、来るアフターコロナ時代に向け再始動していくためには、この地方への流れを本県経済の活性化に生かすべきと考えます。 そこで、お伺いいたします。 コロナを克服し、未来への夢と希望が膨らむ産業振興をどのように図っていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、障がい者雇用の促進についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの全国的な感染拡大により、その影響は雇用情勢にも及んでいます。雇用環境は厳しい状況が続いており、直近の厚生労働省の発表では、解雇など見込み労働者は全国で八万四千人以上となっており、内閣府の月例経済報告によりますと、雇用情勢の先行きは底堅く推移することが期待されるが、雇用調整の動きいかんによっては弱さが増すおそれがあり、感染症の影響に十分注意する必要があるとされています。 このような中、障がい者雇用も厳しい状況にあり、企業の業績悪化などを理由に解雇された障がい者は、昨年の四月から九月までの半年間で全国で千二百十三人と、前年比で三百四十二人、率にするとまさに約四〇%増加していると一部報道されているところであります。 本県においては、官民による積極的な取組により、着実に障がい者雇用が進められておりますが、長引く新型コロナの影響により、今後悪化することが懸念されます。また、来月一日からは、民間企業の障がい者法定雇用率が二・二%から二・三%に引き上げられるとともに、対象企業が、常用労働者数四十五・五人以上から四十三・五人以上へと拡大されることとなっており、障がい者雇用に向けた課題解決や不安解消など、企業に寄り添った支援を行い、障がい者の安定した就労につなげる取組を実施することが重要であります。 そこで、お伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況下にある障がい者雇用の促進に向けてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、アフターコロナを見据えた公共交通ネットワークの再構築についてお伺いいたします。 去る一月八日、政府による緊急事態宣言が再び発令され、これまでGo To トラベル事業によって徐々に上向いてきた国内移動の動きもストップするなど、回復の兆しが見通せず、公共交通事業者を取り巻く環境は一層厳しさが増しております。 本県においては、県民の移動手段を守るため、今年度は総額十八億円に上る補正予算により、鉄道やバス、タクシーなどの県内の公共交通事業者が主体的に取り組む感染防止対策への支援や、プレミアム交通券の発行など、他県よりもぬきんでた支援策を展開し、業界を下支えしております。 お聞きしましたところ、県民生活になくてはならない路線バスは、国や県などによる運行支援はもとより、平時は高速バス事業で出た利益によって支えられていることから、新型コロナ感染拡大で高速バス利用者の激減が長引くことになれば、路線バスの運行にも影響が及ぶことが危惧されるところです。 本県ではこれまで、他の都道府県を上回る大胆な支援策を講じてくれていることから、公共交通事業者からは非常に助かっているという声を実際に私も聞いております。今後は、こうした支援を一定期間続けながらも、路線バス事業者が将来にわたって事業継続ができるよう、アフターコロナを俯瞰し、骨太で筋肉質な路線バスネットワークの再構築に向けた議論を始めるべきではないかと考えます。 そこで、お伺いいたします。 将来にわたり、県民に身近な移動手段である路線バスを守っていくため、アフターコロナを見据えた公共交通ネットワークの再構築にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 臼木議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、ワクチン接種についてどのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 新型コロナウイルス感染症の収束に大きな期待が寄せられておりますワクチン接種につきましては、国民、県民の皆様に、早期にしかも安心して接種いただける体制の構築がまさに急務である、このように認識いたしているところであります。 このため、全国知事会長として、ワクチン接種を担当する河野内閣府特命担当大臣や田村厚生労働大臣との意見交換の場などにおきまして、積極的に国への政策提言を行っているところであります。 その結果、地域の実情に合わせ、接種を行う医療機関を増やすこと、離島や僻地を抱える場合には優先接種の対象者を広げることなど、地方の声が反映され、国の当初案よりも柔軟な接種体制の構築が可能となったところであります。 さらに、ワクチン接種を全国でスムーズに進めるためには、実施主体である市町村と国との間をしっかりとつなぐことが必要であることから、全国知事会では、本県をはじめ三十三道府県三十四名のリエゾンを厚生労働省及び内閣官房に派遣したほか、去る二月十五日から、全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部内にワクチン接種特別対策チームを立ち上げ、各都道府県の先進事例や課題などをしっかりと収集分析し、横展開を図るとともに、国に対しタイムリーに地方の声を届けることで、迅速な接種体制の構築を支援いたしてまいります。 一方、県内では、ワクチンの円滑な接種に向け、徳島県新型コロナウイルスワクチン接種調整会議や、調整会議の下に設置した実務者会議におきまして、今後のスケジュールの共有や、ワクチン接種の準備における課題や対応策の協議、調整を行っているほか、郡市医師会単位でのきめ細やかな協議を実施し、ワクチン供給時に速やかな接種を可能とするための詰めの協議を加速していっているところであります。 また、ワクチン接種につきましては、最終的には個人の判断で接種されるものであり、県民の皆様方の御理解が何よりも重要でありますことから、ワクチン接種の意義や副反応をはじめとした情報について、より分かりやすく、そして速やかに情報発信し、安心して接種していただける体制づくりを進めてまいります。 引き続き、市町村や県医師会などと連携し、オール徳島体制で総力を挙げ、コロナ収束への切り札となるワクチンの円滑な接種を実現いたしてまいります。 次に、コロナを克服し、未来への夢と希望が膨らむ産業振興をどのように図っていくのか、御質問をいただいております。 県民が未来に夢と希望を持っていただき、豊かに暮らす徳島を実現する上で、魅力ある産業の創造と集積が重要となってまいります。 これまで、全国有数の光ブロードバンド環境を生かしたサテライトオフィスの誘致と併せ、立地企業も含め県内企業の拠点化、機能強化に資する旬の投資をしっかりと支援してまいりました。この結果、平成十五年度以降で延べ九十社、百四十を超える事業所の新増設によりまして、三千名の雇用創出が実現いたしたところであります。 来年度以降も、アスティとくしまに開設する企業誘致スペースにおきまして、大手コールセンターによる女性を中心とした百名の雇用が計画されるとともに、令和四年八月には、松茂町で、世界最先端技術を駆使した車載用リチウムイオン電池の新工場が稼働し、三百名以上の雇用創出が実現される見込みとなっております。 また、5GやAI、IoT、そしてロボットを実装するSociety5・0に対応した起業家の育成に向けましては、本県出身で電子書籍流通の第一線で活躍されておられます株式会社メディアドゥ藤田社長にリードいただいている起業塾TIB、徳島イノベーションベースととくしま経営塾平成長久館をタイアップさせた特別塾におきまして、十年間で百名の起業家の輩出を目指し、しっかりと展開いたしているところであります。 さらに、県民の皆様方を支える魅力的な地域のなりわいを未来へと引き継ぐため、全県下を対象とする事業承継ネットワークのマッチングとサポートの機能強化を図り、未来へのバトンをしっかりとつなげてまいります。 加えて、時代の要請であるDX、デジタルトランスフォーメーションを全ての県内事業者の皆様方を対象に普及定着させるとともに、アフターコロナを俯瞰し、中央省庁の地方移転、大企業本社の地方分散、地方大学の機能強化といった地方創生推進のための三つの政策をしっかりと活用し、都市部から地方への新しい人の流れを加速させてまいります。 今や、新しい働き方の代名詞となりましたワーケーションやサテライトオフィスを全国に先駆け実装した徳島から、魅力ある産業の創造と集積を展開することによりまして、未来に夢と希望を生み出すことのできる力強い徳島経済の実現をしっかりと目指してまいります。   (後藤田副知事登壇) ◎副知事(後藤田博君) 厳しい状況にある障がい者雇用の促進に向けてどのように取り組んでいくのかとの御質問でございます。 障がいのある方が、その適性や能力を十分に発揮し、生き生きと働き続けるためには、受入企業はもちろんのことでありますが、障がいのある方に対する地域社会の正しい理解を深めることが何よりも重要であると認識いたしております。 本県では、平成十九年八月に、障がい者団体、市町村、学識経験者等から成りますとくしま障がい者雇用促進県民会議を設立し、とくしま障がい者雇用促進行動計画に基づきまして、障がいのある方の働きたい思いの実現に向けまして、官民一体で取り組んでまいりました。この結果、本県の障がい者雇用は、平成二十七年から六年連続で法定雇用率を達成しており、達成企業の割合は全国トップクラスとなったところであります。 こうした中、新型コロナウイルスの影響による雇用環境が一層厳しさを増す状況の下で、特に障がいのある方に対しましては、よりきめ細やかな配慮と支援が必要でありまして、また一方で、議員お話しのとおり、企業におきましては、目前に迫った法定雇用率の引上げ、対象企業の拡大といった時代の要請にしっかりと対応していただくことが求められております。 そこでまず、障がいのある方に向けましては、ICTスキルを習得するためのオンライン訓練の実施やe-ラーニング訓練の充実、そして、製造業やサービス業等の事業所での業務体験から就職につなげる障がい者版インターンシップの拡充など、障がいのある方の心理的な不安を軽減し、自信を持って就労していただけるよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、企業に向けましては、企業相談コーディネーターによる企業へのきめ細やかな相談体制の強化、そして、AI活用双方向型FAQシステムの充実、さらには、新たに障がい者雇用に取り組む企業に対して、経験とノウハウを有する先行企業の担当者が直接アドバイスを行うサポート事業を県内全域へ拡大することによりまして、障がいのある方、企業、双方にとってメリットのある取組を強力に展開してまいります。 今後とも、障がいのある方、そしてその御家族が安心して暮らし、多様な人々が共生し活躍する、真に幸せを実感できる、誰一人取り残さないダイバーシティとくしまの実現に向けまして、しっかりと取組を進めてまいります。   (貫名県土整備部長登壇) ◎県土整備部長(貫名功二君) アフターコロナを見据えました公共交通ネットワークの再構築について御質問をいただきました。 議員からもお話がありましたとおり、新型コロナの影響が長期化する中、県民の皆様に安心して公共交通を御利用いただけるよう、今年度、総額十八億円に上る補正予算を活用いたしまして、各業界のガイドラインに基づく感染防止対策の徹底や、三密回避を図る列車の増結やバスの増車、あるいは、アフターコロナの新たな需要創出を見据え、JR牟岐線の高速バスとの連携区間において定額で利用できる高速バス通学定期券の試行など、守りと攻めの両方から、厳しい経営環境下に置かれました公共交通事業者の取組を支援してまいりました。 公共交通事業者がこの第三波を乗り越え、将来にわたり県民の皆様の移動手段を確保していくためには、鉄道や路線バスなどそれぞれの交通モードの強みの発揮と連携による公共交通の最適化を、これまで以上にスピード感を持って進めていくことが重要と認識しております。 本県ではこれまでも、未来に向けた地域公共交通の羅針盤である次世代地域公共交通ビジョンに基づき、JR牟岐線へのパターンダイヤ導入を契機とした、全国初となる鉄道と高速バスとの乗継連携、南小松島駅や阿南駅への路線バス乗り入れによる接続向上や、長距離バス路線の短縮など、県が公共交通事業者や市町村との調整役となり、モーダルミックスを推進することで、効率的で利便性の高い公共交通ネットワークの構築に取り組んできたところでございます。 来月には、JR四国の路線で第二弾となりますパターンダイヤが徳島線に導入されることから、牟岐線沿線に続きまして、モーダルミックスを進めていく環境が徳島線に整ってまいります。 そこで、市町村をまたぐ広域移動の要となります幹線バス路線のさらなる再編を加速するため、JR徳島線と幹線バスやデマンド交通などとの接続向上や、駅をはじめとする乗継拠点への乗り入れを推進し、鉄道との重複解消や路線の短縮など、ビジョンに掲げる取組の具現化に向け、来年度から、地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通計画の策定に着手してまいります。 今後とも、アフターコロナを見据え、徳島ならではのしなやかで強靱な公共交通ネットワークを構築し、県民の皆様の移動手段を次の世代まで守っていけますよう、県がさらなるリーダーシップを発揮し、しっかり取り組んでまいります。   (臼木議員登壇) ◆三十五番(臼木春夫君) それぞれ御答弁をいただきました。コメントは、最後にまとめて述べさせていただきます。 それでは、質問を続けます。 地方発の水素社会実現に向けた取組の加速について。 水素は、昨年来、ドイツ、中国など多くの国で、脱炭素化に重要な技術として政策方針に位置づけられるなど、利活用に向けた取組が世界で強まっております。日本は二〇一七年に、世界に先駆け国家戦略を策定し、水素社会の実現に向けた取組を進めてきたところであります。 さらに、国は昨年十月、二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロを宣言し、自然エネルギーの最大限導入や、カーボンプライシング制度の検討開始の方針を表明するなど、大胆な政策を次々と展開しております。特に水素は、クリーンなエネルギーとして、国が打ち出した二〇三五年の新車販売における電動車一〇〇%化の主要な役割を担うことが期待される燃料電池自動車や、二〇五〇年には電源構成の一割相当を賄う発電用燃料など、まさに今後の主要エネルギーとしての重要性が大きく増し、改めて国策としての位置づけがなされたものと承知しているところであります。 徳島県では、二〇一五年度に水素グリッド構想を策定し、県庁舎への水素ステーション設置をはじめ、本年秋頃には、我が会派としても応援してきた水素供給拠点の整備と燃料電池バスの導入が実現予定と伺っております。国が水素エネルギーの積極活用を強めている中、ここまで導かれた知事の先見性と実行力を大いに評価するものであります。 特に、燃料電池バスの導入実現は、水素社会の幕開けを県民が直接体感できる大きな成果であることから、発信効果の高い路線への導入をはじめ、本県の発展に資する効果的な活用を図るよう、強くお願いするものであります。 また、供給拠点整備やバス導入はゴールではなく、環境首都とくしまを掲げる本県としてさらなる飛躍を図るため、最初の通過点であり、これらを積極的に活用し、本県水素施策のビジョンを力強く全国に発信するため、水素グリッド構想の実現、すなわち水素社会の実現に向けた取組を一層加速していくことが重要であると考えております。 そこで、お伺いいたします。 水素供給拠点整備と燃料電池バス路線導入の進捗状況とともに、これらを活用し、水素社会の実現に向けたさらなる取組の加速が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、少子化対策における結婚支援についてお伺いいたします。 本県の人口は、二〇一五年から二〇一八年までの四年間で約二万人減少しており、二十歳代、三十歳代を中心とした若い年齢層における人口減少が深刻化しています。また、我が国の二〇一九年の出生数は約八十六万五千人と過去最少を記録し、言わば八十六万ショックとも呼ぶべき状況となっており、本県の出生数も四千五百五十四人と、第二次ベビーブームが到来した一九七五年の一万二千二十人と比較して約三八%となるなど、少子化は加速度的に進行しています。 こうした少子化の要因の一つとして考えられるのは、未婚化、晩婚化の進行であります。県が令和二年三月策定した第二期徳島はぐくみプラン(後期計画)を見てみますと、本県の未婚率は男女とも年々上昇しており、二〇一五年の三十歳から三十四歳の平均値では、男性四八・四%、女性三五・〇%と、ともに全国値を上回っており、急速に未婚化が進行しております。男女の未婚率の上昇に伴い、平均初婚年齢も徐々に上昇しており、二〇一五年以降、男性は三十歳台、女性は二十九歳台となるなど、晩婚化も進行している状況であります。 また、このたびのコロナ禍においては、社会全体の活動の制限や自粛が続く中、若者の出会いの機会が減少し、二〇二〇年の婚姻件数も過去最少ペースで推移するとともに、妊娠届の受理件数も減少するなど、このままの状況が続けば、少子化に一層の拍車がかかるのではないかと危惧しております。 こうした少子化の流れを食い止めるため、県においては、二〇一六年度に、結婚支援拠点としてマリッサとくしまを開設し、公益財団法人徳島県勤労者福祉ネットワークとの連携により、これまで千組を超えるカップルが誕生したと伺っております。この出会いと結婚を応援するマリッサとくしまの取組は、未婚化、晩婚化の状況を改善するだけでなく、若い人たちが県内に定着するためにも非常に重要であると認識しており、この取組をさらに推進するためには、アフターコロナ時代を見据えた一歩踏み込んだ取組をすべきと考えます。 そこで、お伺いいたします。 少子化対策における結婚支援について、マリッサとくしまのこれまでの成果と、今後どのように取組を強化していくのか、お伺いいたします。 次に、食品ロス削減に向けた取組についてお伺いいたします。 この問題については、まだ食品ロスという言葉を知らない人がほとんどだった二〇一六年六月に初めて質問して以来、ずっと関心を持って取り組んでまいりました。食品ロスは、本来食べることができるのに廃棄される食品のことで、限りある食材や食品を無駄なく使っていくことは世界共通の課題となっております。 我が国においては、国、地方公共団体、事業者、消費者などの様々な主体が連携し、国民運動として食品ロス削減を推進する契機とするため、二〇一九年五月に食品ロスの削減の推進に関する法律を制定し、十月を食品ロス削減月間と定め、普及に取り組んでおります。しかしながら、まだ、食料を大量に生産し、大量に輸入し、その多くを捨てている現実があります。 食品ロスが起こる原因は様々ありますが、先進国では、加工段階や流通・消費段階で多くなると言われています。加工段階では、生鮮食品に対して外観品質基準という厳しい基準が設けられているため、これに適さないとコストがかかるため、廃棄されているそうです。小売段階においても、大量陳列と幅広い品数により、どうしても消費されない消費期限切れの食品が出て、そうなると、残ったものは廃棄されます。さらに、購入されたとしても、無計画に購入すること、簡単に捨てる余裕があることから、消費者は食品を余らせてしまい、廃棄してしまうことが多いのです。 食品ロスを減らすため、様々な工夫をすることが必要であり、例えば、外観品質基準を満たさず商品として流通できないものでも、購入する人や必要としている人はいるはずなので、価格を抑えて売ったり、加工して外観に関係なく食べられるものにリメークを行うことで、ロスを抑えることができます。また、消費期限切れが近づいた食品をフードバンクや子ども食堂などに利用してもらうということは、徳島県においても実施されつつありますが、フードバンクの人員にも限りがあり、手間不足や資金面で大変と伺っています。このため、様々な手法を介して、困った人や子供たちに身近で気軽に届くようなフードバンク活動への支援が必要であると考えます。 そこで、お伺いいたします。 食品ロス削減に向け、フードバンク活動に対する支援策が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、子供のスマートフォン等の適正な利用についてお伺いいたします。 改めて申し上げるまでもなく、スマートフォンの普及で子供たちを取り巻く生活環境は著しく変化しています。スマートフォンは、その手軽さや機能の進歩が著しいことから、その利用について、保護者や周りの目が行き届かないという問題があります。ネットいじめや有害サイトへのアクセス、思わぬ課金などの消費者トラブルに巻き込まれる危険性が、所持の低年齢化も相まって増大しているものと感じているところです。 そこで、昨年の二月議会において、スマートフォンによる子供の健康被害や事件・事故を防ぐための取組について質問したところ、スマートフォン等の適正な利用推進協議会を設け、健康被害の予防と事件・事故の未然防止をテーマに二つの分科会を設け、検討を行い、総合的な対策を取りまとめるとの前向きな御答弁をいただいたところです。また、今年度も、六月議会文教厚生委員会では、第一回目の協議会を八月に開催し、児童生徒たちが主体となって、自分のこととして捉え、利用方法を考えていく方向で検討が始まるとの報告を受けております。 昨年からのコロナ禍において、学校現場ではリモートによる授業が行われるようになり、来年度からはGIGAスクール構想により一人一台端末が実現することから、学習面での活用も加速しているところです。このような状況下において、スマートフォンなどの利用についてのルールづくりの必要性はさらに増していると考えます。 しかし、他県の例を見ても分かるように、そのルールづくりは容易ではなく、保護者や学校からの一方的な制限では、子供の理解を得るのが難しいと思われます。その点から、児童生徒たちが主体となって、自分のこととして捉え、自ら利用方法を考えていくことをサポートするとの本県の基本方針は、的を射たものと思われます。また、子供のみを対象とするのではなく、保護者にも御理解と御協力をいただくことにより、児童生徒、学校、保護者の三者の連携を築くことで、よりよい効果が期待できるものと考えます。 課題解決先進県を目指し、デジタル化の促進を掲げる本県において、これからのネット社会を生きていく子供たちを見守り、必要な手助けをすることは、我々大人の使命だと考えています。 そこで、お伺いいたします。 子供の健康被害や事件・事故を防ぐため、協議会における具体的な検討の成果と、その成果を踏まえた今後の展開についてお伺いいたします。 御答弁をいただき、コメントの上、まとめに入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 水素供給拠点整備と燃料電池バスの路線導入の進捗状況及び水素社会実現に向けたさらなる取組の加速について御質問をいただいております。 国は、二〇五〇年カーボンニュートラルに向け、経済と環境の好循環を目指す成長戦略の策定や革新的技術開発を支援する二兆円の基金の創設など、取組を加速しており、中でも、究極のクリーンエネルギー水素につきましては、船や列車、航空機など多様なモビリティーの燃料電池化、発電や製鉄分野での利活用促進を目指すなど、グリーン社会の実現に向け、不可欠な資源と位置づけているところであります。 本県では、平成二十七年に、全国に先駆け水素グリッド構想を策定以来、全国トップクラスの燃料電池公用車の導入をはじめ、地方発の水素社会実現にチャレンジいたしてまいりました。 こうした中、東亞合成株式会社徳島工場において、全国初となる地産水素を活用し、製造と供給を一体的に行う固定式水素ステーションが、来る三月二十五日、起工式を迎え、いよいよ本年十一月にも開所する運びとなりました。 さらに、燃料電池バスにつきましては、徳島バス株式会社が運営者となりまして、走る広告塔として、国内外に水素立県とくしまをアピールするため、四国のゲートウエーでありますと同時に世界三大潮流の鳴門海峡が生み出す渦潮や、再びJ1で戦う徳島ヴォルティスのホームスタジアムを沿線に有する鳴門公園線において、本年十一月、中四国初となる路線運用を開始するところであります。 この機を捉え、県といたしましては、同社との間で、安定運行や普及啓発とともに、災害発生時には走る大型発電所として御協力をいただく連携協定を近く締結し、燃料電池バスのさらなる活用を図ってまいります。 また、議員お話しのとおり、水素ステーションの整備や燃料電池バスの導入を推進エンジンとして、県民の皆様に水素社会の到来を実感いただくよう、取組を力強く加速していくことが重要であります。 そこで、二酸化炭素の排出削減が求められるトラックや船など運輸部門への水素モビリティーの導入をはじめ、新たな事業展開を視野に、グリッド構想のさらなる進化を図るとともに、新年度に、その実現に向けた具体的な工程や目標時期をお示しするアクションプランを策定いたしてまいります。 今後とも、全国に誇る先進的な水素インフラを最大限に活用し、経済と環境の好循環をいち早く創出することにより、徳島からのグリーン社会、GX、グリーン・トランスフォーメーションの実現に向け、全力で取組を進めてまいります。   (福井副知事登壇) ◎副知事(福井廣祐君) とくしまマリッジサポートセンターの成果と今後の取組についての御質問をいただいております。 社会経済状況の変化や、結婚、出産に対する価値観の多様化により、未婚化、晩婚化が進行し、少子化の深刻さが増す中、県におきましては、市町村や関係機関と連携し、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援を総合的に実施してまいりました。とりわけ、結婚支援は少子化対策の重要な柱であるとの認識の下、希望する全ての人に出会いの機会を提供するため、平成二十八年七月、結婚支援の拠点として、とくしまマリッジサポートセンター、略称マリッサとくしまを開設いたしました。 マリッサとくしまでは、ビッグデータを活用した一対一のお見合いやスポーツ観戦や趣味コンといった体験型イベントなど、趣向を凝らした出会いの機会を提供するとともに、結婚を後押しする阿波の縁むすびサポーター、出会いの場を提供する応援企業の御協力を得て、きめ細やかな支援を行ってまいりました結果、開設から四年半を経過した二月一日現在、千三百二十二組のカップルが成立し、七十一組の方から成婚の報告をいただいており、結婚支援の拠点としての役割をしっかりと果たしているところであります。 しかしながら、今般のコロナ禍においては、大人数での飲食を共にしながら親交を深める従来型の婚活イベントの開催が困難となる中、イベントに対するニーズの変化や婚活に関する相談件数の増加など、会員の結婚への意識や行動にも変化が生じております。 このため、オンラインイベントの開催や会員からの要望が多い個別相談会の充実など、創意工夫を凝らし、新しい生活様式に対応した出会いの機会を創出してきたところであり、さらに令和三年度には、会員情報のリモート閲覧やオンラインお見合いなど、デジタル社会における新たな婚活スタイルに呼応した取組を強化してまいります。 また、県民の皆様の活動と交流拠点となる新たな青少年センターの整備に伴うアミコビルへの移転を千載一遇の好機と捉え、若者による新たなにぎわいの創出をマリッサとくしまの魅力と活力の創造につなげ、希望あふれる未来を創生する「シン・マリッサ」としてリスタートいたします。 今後とも、結婚を望む全ての人の希望がかなうよう、ウイズコロナを乗り越え、アフターコロナを見据えた新たな取組を強力に推進し、徳島はぐくみプランで目標とする希望出生率一・八の実現につなげてまいります。   (志田危機管理環境部長登壇) ◎危機管理環境部長(志田敏郎君) 食品ロス削減に向けたフードバンク活動への支援について御質問いただいております。 食品ロスの削減は、持続可能な開発目標SDGsのターゲットの一つとされ、我が国のグリーン成長戦略にも明記されるなど、世界共通の重要課題でございます。 本県におきましては、食品ロス削減推進法の施行に合わせて、都道府県では初となる全国大会を令和元年十月に開催し、これを機に、フェアトレードをはじめとする、社会・環境に配慮した商品の購入や使用後の廃棄まで考慮した行動を促すエシカル消費の浸透に力点を置き、様々な啓発活動を展開してまいりました。 今年度は、全国大会をレガシーとしたさらなる取組といたしまして、十月の食品ロス削減月間におきまして、消費者庁の新未来創造戦略本部や消費者協会と連携したスーパーマーケットでの店頭キャンペーン、また、飲食店等での食品ロス削減を図る「とくしま食べきるんじょ協力店」の拡大、さらには、食材を無駄なく活用するエコクッキング動画の配信など、食品ロスを抑制する啓発活動を集中的に展開したところでございます。 こうした中、議員のお話にもありましたように、未利用食品を必要としている福祉施設等に届けるフードバンクの活動につきましては、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品を有効活用する大変意義のある活動でございまして、本県におきましては、食品小売事業者を中心に自主的な活動が広がりを見せる一方で、家庭におきましては、余った食品を寄附するという機運の醸成がまだまだ十分とは言えないことから、未利用食品の利活用を県民運動として高めていく必要があると考えております。 このため、これまでの普及啓発に加えまして、新たに徳島県食品ロス削減マイスターを委嘱しまして、教育現場での出前授業などを通じて、子供の頃から、捨てるのはもったいないという意識を醸成できますように、分かりやすいメッセージを届けてまいりたいと考えております。 さらに、新年度におきましては、未利用食品の寄附を受け入れるフードポストの設置を食品小売事業者や各市町村に働きかけ、その設置場所を示した地図を地域の各世帯へ配布することで、それぞれの地域で食品の受渡しをスムーズに行えるフードバンク活動モデルの構築を支援してまいりたいと考えております。 県では、今年度内に、食品ロス年間発生量の削減率について国を上回る目標を掲げた徳島県食品ロス削減推進計画を策定することとしておりまして、今後とも、環境首都とくしまとして、県民総ぐるみでの食品ロス削減にしっかりと取り組んでまいります。   (榊教育長登壇) ◎教育長(榊浩一君) スマートフォン等の適正な利用推進協議会の具体的な検討成果と今後の展開についての御質問でございますが、Society5・0に向け、スマートフォンをはじめとする情報端末は、加速度的に社会全体の利便性を高めるとともに、将来を担う子供たちの安全な暮らし及び個別最適な学習においても不可欠なツールとなっております。 このたびのコロナ禍において、情報端末への期待が一段と大きくなったところですが、その一方で、子供たちの視力低下及びネット依存による健康被害やトラブルにも十分に留意していく必要があると認識しております。 そこで、昨年二月定例会における臼木議員からの御提言を踏まえ、スマートフォン等の適正な利用推進協議会を今年度八月に設置いたしました。協議会は、医療や法律、情報通信、教育相談等の専門家や有識者により構成するとともに、健康被害の防止に関する第一分科会と、ネットトラブルの未然防止に向けた生徒指導に関する第二分科会の二つの分科会を設けることにより、それぞれ専門的な見地から貴重な御意見や建設的な御提言をいただきました。 御論議を踏まえ、協議会においては総意として、子供たちがスマホの適正利用を自分事として考え、主体的に取り組むことが大切であるとの基本方針が示されました。その方針の下、各分科会からは、まず健康面では、指導教材を整備し活用促進を図ること、児童生徒自らが適正な利用について考えチェックする仕組みの構築が必要であること、また生徒指導面では、オンラインによる児童生徒の交流、学びの場の創設や、就学前の児童の保護者への啓発活動の工夫といった具体案を盛り込んだ報告をいただきました。 県教育委員会としては、健全な未来への鍵とも言えるこれらのアイデアを迅速に具現化してまいりたいと考えております。そこで、今年度中に、スマートフォン等の適正な利用に関するホームページを立ち上げ、子供たちの主体的な判断の参考となる各種エビデンスを提示するとともに、児童生徒が自主的に取り組むため、課題解決への道筋を支援するスターターキット教材を新たに作成し、学校現場に提供してまいります。 今後とも、未知の世界を切り開いていく子供たちが、スマートフォンを適正に活用し、成長していけるよう、子供目線に立った対策を積極的に展開してまいります。   (臼木議員登壇) ◆三十五番(臼木春夫君) それぞれ御答弁をいただきました。コメントを述べさせていただきます。 ワクチン接種については、全国知事会会長として国への提言や、特別対策チームを立ち上げ、情報の収集分析を図りながら、接種体制の構築を円滑に進めていただいているとの御答弁をいただきました。さらには、関係者間での協議や、県民への分かりやすく迅速な情報発信といったきめ細やかな取組について、総力を挙げて進めていただけるとのことです。ぜひ県民の安全・安心のため、引き続き御尽力いただけることを期待しております。 産業振興については、コロナ禍で世界中が危機的な影響を受ける中、アフターコロナ時代を見据えた経済の再始動として、若者が希望を抱くことができる、都市からの企業誘致の計画や、起業家の育成支援、事業承継の仕組みづくりなど様々な取組について、知事から力強い御答弁をいただきました。こうした取組により、地方回帰の流れにぜひ道筋をつけていただくことを期待したいと思います。 公共交通ネットワークについては、今年度の県の支援について、業界から、この支援がなかったら事業を維持できなかったと聞いており、タイムリーで効果的な支援がしっかりとなされてきたものと考えています。コロナ収束が見通しにくい中、公共交通ネットワークの再構築は不可避で、将来にわたり市民の移動手段を守るためには、利用者、市町村、交通事業者など多くの関係者との調整が必要であり、その調整役を担えるのは県しかないと考えております。 先ほど、県がリーダーシップを発揮していくという頼もしい御答弁をいただきました。ぜひその実現に向け、しっかりと取組を進めてほしいと思います。 水素社会の実現の加速に向けて、知事から、グリッド構想の進化やアクションプランの策定などを行うとの力強い御答弁をいただきました。また、燃料電池バスは、運営者や路線名の決定の御答弁をいただき、中四国初の導入に向けた着実な推進に、安心いたしました。 今、バス事業者は、新型コロナの影響で、経営面でも大きな影響を受けております。この中四国初のバス導入が、利用者回復のきっかけになるよう、また、グリッド構想に基づくバスの増車や路線拡大につながるよう、今後も事業者と連携した取組をよろしくお願いいたします。 少子化対策として、マリッサとくしまでは、平成二十八年の開設から四年半で七十一組の成婚の報告を受けているということです。結婚支援拠点としての役割をしっかり果たしていると評価したいものです。 コロナ禍において、会員ニーズに応じた出会いの機会の創出に取り組んでいただき、アフターコロナを見据えた新しい婚活スタイルの取組を強化していくとの御答弁をいただきました。また、アミコビルへの移転によるリスタートも期待されていますので、今後とも、一組でも多くの成婚に結びつくように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 食品ロス削減の取組については、教育現場での普及啓発や、小売事業者や市町村などの地域で食品の受渡しが完結するフードバンクの活動モデルの構築を支援するとのことです。ぜひ県民への浸透を図り、県民運動として大いに推進してもらいたいと思います。 それでは、まとめに入ります。 新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、都市封鎖、ロックダウン、緊急事態宣言など、世界中が混乱の渦に巻き込まれ、経済活動を停止に追い込み、今までの平和な日常が一瞬で失われ、世界中で失業者が増え、企業も次から次へと倒産し、多くの世界中の国民が生きるのか死ぬのかの瀬戸際に追い込まれ、危機に直面しているように私は思います。言わば人間とコロナウイルスとの戦争で多くの人が犠牲となっている今日ですが、四字熟語で敬天愛民という言葉があります。天を敬うことで平和な世の中が訪れることを願い、人を愛することで人の心を思いやり、自分自身をも大切にできるというこの言葉のように、コロナ禍で暗雲低迷となっている今の世を、コロナの終息を願い、敬天愛民で乗り越えていこうではありませんか。 コロナに打ちかち、今までの平和な日常を取り戻し、マスクなしでの笑顔で会話し合える日が一日も早く来ることを強く願って、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(寺井正邇君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。   ──────────────────────── ○議長(寺井正邇君) 本日は、これをもって散会いたします。      午後四時三十一分散会   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━...